相続した未登記建物の重要性と登記手続きの詳細
相続した建物が未登記の場合、さまざまな問題が生じる可能性があります。登記を怠ることは大きなデメリットを招くため、適切な手続きを行うことが重要です。以下に、未登記建物の登記手続きについて詳しく解説します。
1. なぜ建物が未登記なのか
1-1. 登記と固定資産税の違い
登記を管理する機関と、固定資産税を管轄する機関は異なります。登記は国(法務省)が管理し、固定資産税は市町村が管理しています。このため、登記が行われていない建物でも、固定資産税の納税通知書が送られてくることがあります。
1-2. 登記の必要性
登記は建物の所有者が行う義務があります。所有者の権利を保護するための制度であり、新築や増築、解体時には登記が必要です。所有者が申請しなければ、未登記の状態が続いてしまいます。
1-3. 登記の仕組み
登記記録は不動産の所在、所有者、抵当権などの情報を記録する台帳です。これにより、誰のものかを明確にすることができます。登記記録は「表題部」「甲区」「乙区」の3つの部に分かれています。
2. 未登記建物のデメリット
2-1. 登記の義務
不動産登記法により、新築や増築、解体時には1カ月以内に登記申請が必要です。違反した場合、10万円以下の過料が科されることがあります。特に2024年度からは、相続登記が義務化されます。
2-2. 所有権の保護
未登記のままでは、建物の所有権を他人に主張することができません。借地権のある土地に建物を建てた場合、登記をすることで借地権を主張することができます。
2-3. 不動産の売買
未登記でも不動産の売買は成立しますが、所有権の主張が困難になるため、買主が借入れを行う際に問題が生じることがあります。
2-4. 相続時の問題
未登記建物の所有者が亡くなると、相続人が増え、所有権の証明が難しくなることがあります。相続人が増えることで、手続きや費用が増大することもあります。
2-5. 民法改正による影響
2019年の民法改正により、法定相続分を超える相続分については登記が必要となりました。登記を怠ると、他人に所有権を主張することができなくなります。
2-6. 固定資産税の軽減措置
住宅を建てると、土地の固定資産税や都市計画税の軽減措置が適用されます。しかし、未登記の場合、市町村が建物の存在を認識しない可能性があります。過去の納税についても遡って請求されることがあります。
3. 未登記建物を相続するには
3-1. 相続の基本
未登記でも相続は可能です。遺産分割協議書には建物の所在、種類、構造、床面積などを記載し、固定資産税の評価証明書も併せて記載します。
3-2. 被相続人名義での登記
相続人が未定の場合、被相続人名義で登記することができます。不動産登記法上、表題部の登記は1カ月以内に行う必要がありますが、相続人が決まっていない場合は過料を請求されることはありません。
3-3. 相続後の登記
建物を新築した人が登記せずに亡くなった場合、遺産分割協議で相続人を決め、その名義で登記を行います。表題部の登記を被相続人名義で行うことも可能ですが、債権者からの差押リスクがあるため、相続人を決めた後に登記する方が一般的です。
4. 登記の専門家に依頼する方法
4-1. 司法書士と土地家屋調査士
登記は専門家に依頼することが推奨されます。表題部の登記は土地家屋調査士、甲区と乙区の登記は司法書士が担当します。司法書士に依頼する場合、土地家屋調査士を紹介してもらうことも可能です。
4-2. 専門家の選び方
信頼できる専門家を選ぶことが重要です。インターネットでの検索や口コミを活用して、実績のある専門家を見つけましょう。
まとめ
未登記建物を相続した場合、早急に登記手続きを行うことが重要です。専門家の力を借りることで、手続きをスムーズに進めることができます。未登記の状態を放置すると、多くのデメリットが生じるため、早めの対策が必要です。