「所有不動産記録証明制度」とは
相続登記義務化に伴い、2026年4月1日から「所有不動産記録証明制度」が導入されます。この制度により、特定の名義人が所有する不動産の一覧を取得できるようになり、相続登記の手間を軽減し、登記漏れを防ぐことが期待されています。ここでは、所有不動産記録証明制度の概要や背景、具体的な内容、問題点について詳しく解説します。
1. 所有不動産記録証明制度の背景
日本では、所有者不明土地が増加しており、公共事業や街づくりの妨げとなっています。この問題を解決するため、相続登記が義務化されました。しかし、相続人が相続対象の土地の存在を知らなければ、登記漏れが発生する可能性があります。このため、所有不動産記録証明制度が導入されました。
2. 所有不動産記録証明制度の概要
所有不動産記録証明制度は、特定の名義人が所有する不動産の一覧を法務局から取得できる制度です。これにより、名義人単位で不動産の情報を把握しやすくなり、登記漏れを防ぐことができます。
3. 具体的な内容
記載内容
所有不動産記録証明書には、特定の名義人が所有する全ての不動産の登記情報が記載されます。不動産の情報を横断的に把握できるため、見逃しが防げます。
取得方法
証明書の取得は、名義人本人、相続人、または名義人や相続人から委任を受けた代理人に限られます。また、法務局への手数料の納付が必要です。
費用
取得には手数料が必要で、具体的な手数料額は今後定められます。
4. 現状の調査方法とその問題点
現状では、不動産の情報を把握する方法として以下の2つがありますが、どちらも不完全です。
固定資産税納税通知書
課税対象の不動産のみ記載されており、非課税の不動産や共有名義の不動産は把握できません。
名寄帳
同一市区町村内の不動産情報のみ記載され、自治体をまたぐ不動産は把握できません。
5. 新制度の課題
所有不動産記録証明制度にはいくつかの課題があります。
住所や氏名の変更が反映されない場合
記載されない不動産が出る可能性があります。
相続登記が未了の場合
一覧には記載されません。正確な一覧を取得するためには、相続登記と住所・氏名変更登記が必要です。
6. 今後の展望
相続登記や住所・氏名変更登記の義務化により、登記内容が正確になることが期待されます。しかし、登記内容が正確になるまでには時間がかかります。そのため、過去の住所や氏名も含めて申請することを検討すると良いでしょう。
このように、所有不動産記録証明制度は、相続登記の手間を軽減し、登記漏れを防ぐための有効な手段です。しかし、いくつかの課題も存在します。相続登記や住所・氏名変更登記の義務化に伴い、正確な情報を取得しやすくなることが期待されます。登記内容の見直しや適切な登記手続きを行うことで、制度を最大限に活用することができます。
必要な登記手続きや疑問、不安がある場合は、専門家に相談することをお勧めします。司法書士事務所では、相続登記や住所・氏名変更登記に関するサポートを行っており、お客様の状況に応じたアドバイスを提供しています。
相続登記義務化に伴う新制度についての情報をしっかり把握し、適切な手続きを行うことで、安心して相続手続きを進めることができます。司法書士事務所では、皆様のご相談をお待ちしておりますので、どうぞお気軽にお問い合わせください。