自己破産の手続きとは?
自己破産は、借金の返済が困難な状況にある場合に、裁判所の判断で債務を免除してもらう手続きです。これにより、借金の返済から解放され、新たなスタートを切ることができます。しかし、自己破産を申し立てるためには、いくつかの条件を満たす必要があります。
自己破産の基本条件
自己破産の手続きが認められるためには、以下の3つの基本条件を満たす必要があります。
支払い不能な状態であること
債務者が返済能力を欠き、継続的に返済の見通しが立たない状態であることを裁判所に認めてもらう必要があります。具体的には、債務の総額が年収の3分の1を超えている場合などが該当します。
免責不許可事由に該当しないこと
借金の理由が破産法第252条で規定される免責不許可事由に該当しないことが求められます。免責不許可事由には、財産隠しや浪費、ギャンブルによる借金などがあります。
非免責債権ではないこと
自己破産によって免責されない債権、つまり非免責債権でないことが条件です。非免責債権には、税金や社会保険料、罰金、慰謝料などが含まれます。
自己破産が認められるケース
以下の具体的なケースにおいて、自己破産が認められる可能性があります。
奨学金の返済が困難な場合
奨学金は非免責債権に該当しないため、自己破産の免責許可を得られる可能性があります。ただし、保証人に負担がかかることがあるため、事前に話し合いが必要です。
高齢者で収入が限られている場合
高齢者でも自己破産の手続きが可能であり、年齢による制限はありません。
生活保護を受給している場合
生活保護の受給は支払い不能な状態として認められるため、自己破産が可能です。
自己破産が認められないケース
一方で、以下のケースでは自己破産が認められないことがあります。
債務の額が少額である場合
借金の総額が少ない場合、裁判所から返済可能と判断されるため、自己破産が難しくなります。
浪費やギャンブルによる借金が大半を占める場合
免責不許可事由に該当するため、自己破産が認められませんが、真摯な態度で臨めば「裁量免責」として認められる可能性もあります。
税金や社会保険料の滞納分が大半を占める場合
非免責債権であるため、自己破産をしても支払いが免除されません。
過去7年以内に自己破産をしたことがある場合
法律上、自己破産が認められるまでに7年以上の期間が必要です。
裁判所費用(予納金など)が払えない場合
自己破産を申し立てる際に必要な費用を支払えない場合も、手続きが進められません。
自己破産できない場合の対処法
自己破産が難しい場合、他の債務整理の方法を検討することが重要です。以下の2つの方法が一般的です。
任意整理
任意整理は、裁判所を介さずに貸金業者と直接交渉し、借金の返済を軽減する手続きです。将来の利息をカットし、元本のみを3年程度の分割で返済することが可能です。特定の債務を選んで任意整理することができるため、返済中のローンを手元に残すこともできます。
個人再生
個人再生は、裁判所に申し立てて借金を大幅に減額し、3年(最長5年)で分割返済する手続きです。自己破産と異なり、住宅ローンを支払っている場合でも住宅を残すことができます。計画通りに返済できれば、残りの借金は免除されます。
専門家のアドバイスを受ける重要性
自己破産や他の債務整理の方法を検討する際は、専門家のアドバイスを受けることが重要です。弁護士や司法書士に相談することで、適切な債務整理の方法を選び、手続きを円滑に進めることができます。また、法テラスの民事法律扶助制度を利用すれば、弁護士や司法書士に支払う費用の立替を受けることも可能です。
まとめ
自己破産は、支払い不能な状態にある場合や、免責不許可事由に該当しない場合に認められる可能性があります。自己破産が難しい場合でも、任意整理や個人再生といった他の債務整理の方法を検討することで、借金問題を解決する道が開かれます。専門家のアドバイスを受けながら、最適な方法を選びましょう。
当司法書士事務所では、自己破産や他の債務整理に関する無料相談を受け付けています。お気軽にご相談ください。