解決事例

自己破産の流れ(想定ケース)免責・同時廃止と管財事件

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この記事は一般的な解説です。令和8年10月時点の法令・運用に基づいており、個別の事情により結論が変わることがあります。なお、この記事に登場する「Cさん」は、自己破産の流れを分かりやすく説明するための想定上の人物であり、実在の依頼者の事例ではありません。

結論:自己破産は、支払不能の状態にある人が、裁判所に申し立てて借金の支払義務を免除(免責)してもらう手続です。申立先は地方裁判所で、手続は「同時廃止」と「管財事件」に分かれます。免責が認められても、税金や養育費など免責されない債務があること、官報への掲載や一定の資格制限があることを理解しておく必要があります。

想定ケース:個人保証で多額の負債を抱えたCさん

Cさん(想定)は、会社の経営が行き詰まり、会社の借入れの個人保証を含む多額の負債を抱えました。収入では返済の見込みが立たず、自己破産を検討している、という状況を例にします。

自己破産の基本的な流れ

自己破産の基本的な流れ

  1. 債権者と借入れの状況を整理する借入先、残高、保証の有無、財産、収入と支出を一覧にする
  2. 申立書類を準備する申立書、陳述書、債権者一覧表、財産目録などを用意する
  3. 地方裁判所に申立てをする原則として申立人の住所地を管轄する地方裁判所
  4. 破産手続開始決定管財人を選ぶ「管財事件」か、選ばない「同時廃止」かが決まる
  5. 免責の審理免責不許可事由の有無などが調べられる
  6. 免責許可決定官報に掲載され、不服申立てがなければ確定する
  1. 債権者と借入れの状況を整理する:借入先、残高、保証の有無、保有する財産、収入と支出を一覧にします。
  2. 申立書類を準備する:申立書、陳述書、債権者一覧表、財産目録、住民票、給与明細や源泉徴収票、通帳の写し、家計の状況が分かる書類などを用意します(必要書類は裁判所によって異なります)。
  3. 地方裁判所に申立てをする:原則として、申立人の住所地を管轄する地方裁判所です。
  4. 破産手続開始決定:裁判所が支払不能かどうかを判断し、開始決定をします。この時点で、管財人が選ばれる「管財事件」か、管財人を選ばない「同時廃止」かが決まります。
  5. 免責の審理:免責不許可事由の有無などが調べられ、免責を認めるか判断されます。
  6. 免責許可決定:決定は官報に掲載され、不服申立てがなければ確定します。

同時廃止と管財事件の違い

項目 同時廃止 管財事件
対象 配当できる財産がほとんどないことが明らかな場合 一定の財産がある場合や、調査が必要な場合
管財人 選ばれない 裁判所が選任し、財産の調査・換価・配当を行う
費用の目安 収入印紙・郵便切手・官報掲載料で1万円台とする裁判所の案内があります 管財人の費用に充てる予納金が必要で、数十万円以上とする案内があります(裁判所・事案によって異なります)
生活への影響 比較的小さい 郵便物の転送や、居住地の移転・長期の旅行への制限がある

個人事業や法人の経営に関わっていた方、一定額以上の財産がある方は、管財事件になることが多いとされています。どちらになるかは裁判所が判断します。

免責されない借金と、免責不許可事由

免責されない債務の例

  • 税金、国民健康保険料などの公租公課
  • 養育費など、扶養に関する請求権
  • 悪意で加えた不法行為や、故意または重大な過失により人の生命・身体を害した不法行為に基づく損害賠償請求権
  • 罰金
  • 債権者一覧表に載せなかった債権(債権者を知っていながら記載しなかった場合)

これらは破産法253条1項に定められています。

免責不許可事由の例

  • 債権者を害する目的で財産を隠したり、不利益に処分したりした
  • 浪費やギャンブルによって借金を増やした
  • 支払不能なのに、それを隠して借入れをした
  • 財産目録や陳述書に虚偽を記載した
  • 過去7年以内に免責を受けている

これらは破産法252条1項に定められています。不許可事由があっても、裁判所が事情を考慮して免責を認める「裁量免責」が行われる場合があります(同条2項)。

自己破産の注意点

  • 保証人への影響:免責の効力は保証人には及ばないため、自分の借金に保証人がいる場合、保証人が請求を受けることになります。
  • 財産の扱い:一定額を超える財産は、換価されて債権者への配当に回ります。ただし、生活に必要な最低限の財産(自由財産)は手元に残せます。現金は99万円までなど、基準があるとされていますが、具体的な扱いは裁判所によって異なることがあるため、申立先で確認が必要です。
  • 一部の債権者だけに返済しない:申立ての前後に特定の債権者にだけ返済すると、免責に影響するおそれがあります。
  • 資格・仕事の制限:手続中は、一定の資格や職業に就けない制限があります。免責許可が確定すると、これらの制限は解消されます(復権)。
  • 信用情報への登録:一定期間、新たな借入れやクレジットカードの利用が難しくなります。
  • 官報への掲載:決定は官報に掲載されますが、戸籍や住民票に記載されることはありません。

よくある質問

Q1 家族に知られますか。

家族に自動で通知されることはありません。ただし、同居の家族の収入や家計の資料が必要になる場合や、家族名義の財産がある場合は、手続の中で確認が必要になることがあります。

Q2 自己破産を司法書士に頼めますか。

地方裁判所に提出する破産申立書類の作成は、司法書士が行うことができます。ただし、司法書士は地方裁判所で本人に代わって手続を代理することはできません。裁判所への出頭などは、ご本人が行います。代理人として手続を進めたい場合や、債権者との交渉が必要な場合は、弁護士に相談してください。

Q3 自己破産以外の方法はありますか。

借金の状況によっては、任意整理や個人再生、時効の援用が選択肢になることがあります。どの方法が適切かは、収入、財産、借金の額や内容によって異なります。

まとめ

自己破産は、借金の支払義務を免れる手続ですが、免責されない債務があることや、財産・資格・信用への影響があることを理解したうえで検討することが大切です。方法に迷う場合は、早めに専門家へ相談しましょう。

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この記事の監修者

司法書士 川西 祐輔(ウィルパートナー司法書士事務所 代表)

大阪司法書士会所属(登録番号 大阪第4855号)/簡裁訴訟代理等関係業務認定/公益社団法人成年後見センター・リーガルサポート会員。相続登記・遺言・相続放棄・成年後見・債務整理・不動産登記・商業登記を取り扱っています。

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