解決事例

個人再生の流れ(想定ケース)要件・返済額・住宅資金特別条項

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この記事は一般的な解説です。令和8年10月時点の法令・運用に基づいており、個別の事情により結論が変わることがあります。なお、この記事に登場する「Dさん」は、個人再生の流れを分かりやすく説明するための想定上の人物であり、実在の依頼者の事例ではありません。

結論:個人再生は、将来も継続的な収入が見込める人が、裁判所の認可を受けた再生計画に従って原則3年間で借金の一部を返済し、残りの支払義務の免除を受ける手続です。無担保の債務総額が5,000万円以下であることなどが必要です。住宅ローンがある場合は、「住宅資金特別条項」を使って自宅を残せる可能性があります。

想定ケース:勤務先の事情で収入が減ったDさん

Dさん(想定)は、勤務先の事情で収入が減り、住宅ローンやカードローンの返済が苦しくなりました。自宅は手放したくないが、借金は減らしたい、という状況を例にします。

個人再生の種類と要件

小規模個人再生と給与所得者等再生の違い

小規模個人再生 給与所得者等再生
追加の要件 特になし 給与など、収入の変動の幅が小さい人
債権者の同意 書面決議で、債権者数の半数以上または議決権額の過半数の不同意があると認可されない 債権者の決議は不要
返済額の基準 最低弁済額と清算価値の高い方 左に加え、可処分所得の2年分以上

共通:継続的な収入の見込みがあり、無担保の債務総額が5,000万円以下(住宅ローンなどは除く)

どちらの手続も、将来、継続的に収入を得る見込みがあり、無担保の債務総額が5,000万円以下であること(住宅ローンなどは除いて数えます)が共通の要件です。違いは次のとおりです。

項目 小規模個人再生 給与所得者等再生
追加の要件 特になし 給与など、収入の変動の幅が小さい人
債権者の同意 再生計画案に対し、書面決議で債権者数の半数以上、または議決権額の過半数の不同意があると認可されない(詳細は裁判所の案内で確認) 債権者の決議は不要
返済額の基準 借金の額に応じた最低弁済額と、清算価値(財産を処分した場合の価値)の高い方 左に加え、可処分所得の2年分以上

返済総額は、清算価値(財産を処分して配当した場合の金額)を下回ることができません。これを「清算価値保障原則」といいます。

返済額の目安(最低弁済額)

小規模個人再生では、借金(住宅ローンなどを除く)の額に応じて、次の額が最低限の返済額の目安とされています(民事再生法231条2項4号)。実際の返済額は、清算価値なども踏まえて決まります。

借金の総額 最低弁済額の目安
100万円未満 全額
100万円以上500万円以下 100万円
500万円超1,500万円以下 借金の5分の1
1,500万円超3,000万円以下 300万円
3,000万円超5,000万円以下 借金の10分の1

この表は、法律の内容を一般向けに整理した目安です。個別の事案への当てはめは、必ず裁判所の案内や専門家に確認してください。

個人再生の基本的な流れ

  1. 収入・財産・借金を整理する:借入先と残高、住宅ローンの有無、家計の収支、保有財産を確認します。
  2. 申立書類を準備する:申立書、債権者一覧表、財産目録、収入の資料、家計収支表、住民票などを用意します(裁判所によって異なります)。
  3. 地方裁判所に申立てをする:原則として、申立人の住所地を管轄する地方裁判所です。申立費用として、収入印紙1万円分、連絡用の郵便料、予納金などが必要です(予納金は裁判所によって異なります)。
  4. 再生手続開始決定:裁判所が申立てを審査し、開始決定をします。
  5. 債権の確定と再生計画案の提出:債権者の届出を受けて債権額を確定させ、返済の内容を定めた再生計画案を提出します。
  6. 再生計画の認可:裁判所が認可すると、決定が官報に載り、確定します。
  7. 計画に沿って返済:原則3年間、計画どおりに返済します。完了すると、残りの債務が免除されます。

住宅ローンがある場合:住宅資金特別条項

住宅資金特別条項(民事再生法196条以下)を使うと、住宅ローンは約定どおりに支払い続けることを前提に、その他の借金だけを再生手続で減額し、自宅を残せる可能性があります。次のような点に注意が必要です。

  • 自分が住むための住宅で、住宅ローンの担保として抵当権が設定されている必要があります。
  • 住宅ローン以外の抵当権(事業用の借入れなど)が付いていると、利用できないことがあります。
  • 住宅ローンの返済が続けられる収入があることが前提です。
  • 保証会社が代位弁済している場合は、一定期間内に申立てをするなど、時期の制約があります。

個人再生のメリットと注意点

メリット

  • 借金を大きく減らせる可能性がある
  • 住宅資金特別条項を使えば、自宅を残せる可能性がある
  • 自己破産と異なり、免責不許可事由(浪費など)があっても利用できることがある
  • 資格・仕事の制限が、自己破産よりも少ない

注意点

  • 継続的な収入が必要で、3年間(特別な事情があるときは最長5年)の返済を続けなければならない
  • 官報に掲載され、信用情報にも一定期間登録される
  • 書類が多く、手続が複雑で、時間がかかる
  • 計画どおりに返済できなくなると、認可が取り消されるおそれがある

よくある質問

Q1 個人再生を司法書士に頼めますか。

地方裁判所に提出する再生手続の申立書類の作成は、司法書士が行うことができます。ただし、司法書士は地方裁判所で本人に代わって手続を代理することはできません。代理人として手続を進めたい場合や、債権者との交渉が必要な場合は、弁護士に相談してください。

Q2 パートやアルバイトでも利用できますか。

継続的に収入を得る見込みがあれば、雇用形態にかかわらず利用できる可能性があります。ただし、返済計画を実行できるだけの収入があるかどうかが審査されます。

Q3 自己破産と個人再生はどちらがよいですか。

自宅を残したいか、継続的な収入があるか、借金の理由や額はどうかによって異なります。一般に、自宅を残したい方や、免責不許可事由が気になる方は個人再生を、返済の見込みが立たない方は自己破産を検討することが多いとされています。

まとめ

個人再生は、継続的な収入があり、借金を減らして生活を立て直したい方に向いた手続です。自宅を残せる可能性がある一方、要件や書類が多いため、早めに状況を整理し、専門家に相談しましょう。

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この記事の監修者

司法書士 川西 祐輔(ウィルパートナー司法書士事務所 代表)

大阪司法書士会所属(登録番号 大阪第4855号)/簡裁訴訟代理等関係業務認定/公益社団法人成年後見センター・リーガルサポート会員。相続登記・遺言・相続放棄・成年後見・債務整理・不動産登記・商業登記を取り扱っています。

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