コラム

借金の消滅時効とは?時効の援用の方法と、時効が使えなくなる場合

※ この記事は、借金の消滅時効と時効の援用に関する一般的な解説です。この記事は令和8年10月時点の法令・制度に基づいています。個別の事情により結論が異なることがありますので、具体的な判断は専門家にご相談ください。

1 借金にも「時効」があります

長い間返済していない借金について、突然、債権回収会社などから督促状が届くことがあります。このような場合、借金が消滅時効にかかっている可能性があります。

令和2年4月1日以降に生じた債権の消滅時効は、原則として次のいずれか早いほうで完成します(民法166条1項)。

  • 債権者が権利を行使できることを知った時から5年
  • 権利を行使できる時から10年

それより前の借入れには、改正前の規定(商取引による債権は原則5年など)が適用される場合があります。また、裁判の判決などで確定した債権は、時効期間が10年になります(民法169条1項)。

2 時効は「援用」しないと効果が生じません

時効期間が過ぎても、借金が自動的に消えるわけではありません。債務者が「時効を援用します」と債権者に意思表示をして、はじめて時効の効果が生じます(民法145条)。実務では、記録が残るよう、内容証明郵便で時効援用通知を送るのが一般的です。

3 時効が使えない(止まる・リセットされる)場合

  • 債務を承認した:一部でも返済した、「必ず払います」と書面に書いた、分割払いの合意をしたなど、借金があることを認めると、その時から時効は新たに進行します(民法152条1項)。
  • 裁判を起こされた:訴訟や支払督促などの手続きが行われると、時効の完成が猶予され、判決などで確定すると、そこから新たに時効期間が始まります(民法147条)。
  • 催告を受けた:督促状などによる催告があると、その時から6か月間は時効が完成しません(民法150条1項)。

督促状が届いたときに、慌てて少額でも支払ったり、電話で支払いを約束したりすると、時効を主張できなくなるおそれがあります。まずは支払わずに、最後に返済した日や、裁判の記録がないかを確認してください。

4 当事務所の実務から:援用の前に、取引の記録を確認する

督促状だけでは、最後に返済した日や、裁判を起こされたことがあるかが分からないことがよくあります。当事務所では、時効を援用する前に、次の順番で確認しています。

  1. 取引経過の開示を依頼する:債権者に、当初からの取引の記録の開示を書面で依頼します。その書面には、「本通知は、時効中断事由としての債務の承認をするものではありません」と明記し、債務整理の依頼ではないため信用情報に「債務整理」などの登録をしないよう求めています。開示の依頼そのものが借金を認めたものと受け取られないようにするためです。
  2. 時効期間が過ぎているかを確認する:最後の返済日、契約の時期、判決などの有無を確認します。令和2年3月31日以前の借入れなどでは、改正前の商法522条(原則5年)を根拠に援用した例もあります。
  3. 援用通知を内容証明郵便で送る:個々の債権の額が140万円以下であれば、当事務所が代理人として、どの債権について時効を援用するのかを特定した通知書を送ります。以後の連絡は、ご本人ではなく当事務所に行うよう求めます。

5 司法書士に依頼できる範囲

当事務所では、借金問題のご相談として、時効の援用を取り扱っています。認定司法書士は、個々の債権の額が140万円以下の場合に限り、代理人として時効援用通知を送ることができます(司法書士法3条1項7号)。個々の債権の額が140万円を超える場合は、司法書士は代理人になれないため、ご本人ご自身での対応か、弁護士へのご依頼をご検討いただくようご案内しています。費用などは時効援用のご案内をご覧ください。

6 時効を援用した後の注意

  • 援用後に、債権者から裁判を起こされた場合は、裁判の中で時効を主張する必要があります。裁判所からの書類は無視せず、すぐにご相談ください。
  • 信用情報機関の記録の扱いは、債権者や機関によって異なります。

7 よくある質問

Q. 亡くなった親あての督促状に、時効は使えますか?

A. 相続人も時効を援用できる場合があります。相続放棄とどちらがよいかは、相続財産の状況によって異なります(亡くなった人の借金の調べ方)。

8 まとめ・ご相談の目安

長期間返済していない借金は、消滅時効にかかっている可能性があります。ただし、時効は援用しなければ効果が生じず、支払いや約束をすると主張できなくなることがあります。督促状が届いたら、支払う前にご相談ください。

  • 何年も前の借金について、突然督促状が届いた
  • 最後にいつ返済したか分からない
  • 裁判所から書類が届いた

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