※ 本文中の事例は、実務で見られる典型的な問題を一般化した仮想の例であり、実在の依頼者・案件ではありません。この記事は令和8年9月時点の法令・制度に基づいています。
1 結論:「現在の戸籍」から遡って、同一人物であることを確認します
相続人の名字が、結婚・離婚・養子縁組などで変わっている場合、現在の戸籍から、以前の戸籍へ遡って、被相続人の子であることと、同一人物であることを確認します。
2 名字(氏)が変わる主な場面
- 婚姻:結婚により、一方の氏が変わり、新しい戸籍が作られる
- 離婚・離縁:氏が戻る、または新しい戸籍を作る
- 養子縁組:養親の氏になる
- 転籍・改製:本籍地の移動、戸籍の様式の切替えなどで、戸籍が複数に分かれる
相続人が複数回名字が変わっていると、戸籍が多数に及ぶことがあります。
3 戸籍のたどり方
- 被相続人の戸籍で、その相続人が「子」として記載されていることを確認します(父母の氏名・出生年月日など)。
- 相続人の現在の戸籍を取得し、従前戸籍(どこから来たか)の記載を確認します。
- 従前戸籍を順に取得し、被相続人の戸籍に記載された子と同一人物であることを確認します(生年月日・父母欄・続柄)。
- 住所は、住民票または戸籍の附票で確認します。
4 実務上つまずきやすい点
- 相続関係の書類(相続人一覧・遺産分割協議書・登記申請書)で、氏名の表記を「現在の氏名」に統一しておかないと、書類間で食い違い、補正の原因になります。
- 戸籍の氏名には、旧字体・異体字が使われている場合があり、現在の表記と違う文字を、同じ人と見落とすことがあります。戸籍上の文字は、原本の表記に従って確認します。
- 遺産分割協議書の署名・押印は、印鑑証明書の氏名・住所と一致している必要があります。名字が変わった直後などは、住所・氏名の変更が印鑑証明書に反映されているかも確認します。
- 氏が変わった相続人ほど、所在(現住所)の確認が後回しになりがちです。相続人調査の早い段階で、住民票・附票で確認します。
5 よくある質問
Q. 結婚して名字が変わった娘にも相続権はありますか?
A. あります。氏が変わっても、被相続人の子であることは変わりません。
Q. 養子縁組で名字が変わった場合も同じですか?
A. 普通養子の場合、実親との関係が続くため、実親の相続人となる可能性があります。縁組の種類の確認が必要です。
Q. 戸籍を自分で集めるのが大変です。
A. 本籍地が複数の自治体にまたがると、取り寄せに時間がかかります。専門家に依頼することもできます。
6 まとめ・ご相談の目安
名字が変わった相続人の戸籍は、現在から過去へ遡り、被相続人との親子関係と同一人物性を確認します。次のような場合は、ご相談ください。
- 相続人の名字が何度も変わっている
- 戸籍が多くの自治体にまたがる
- 旧字体などで戸籍の読み取りに自信がない
当事務所では、戸籍の収集・読み取りと、相続人一覧・書類の作成について、ご相談・ご依頼をお受けしています。

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