※ 本文中の事例は、実務で見られる典型的な問題を一般化した仮想の例であり、実在の依頼者・案件ではありません。この記事は令和8年9月時点の法令・制度に基づいています。
1 結論:「いないはず」で進めず、戸籍で確認します
相続人のうち誰かが被相続人より先に亡くなっているとき、その人に子(被相続人から見て孫)がいれば、その子が代わりに相続人になります(代襲相続)。子の有無を本人や親族の記憶だけで判断せず、先に亡くなった方の戸籍で確認することが重要です。代襲相続人を見落としたまま進めると、共同相続人全員による協議(民法907条1項)とならず、手続きをやり直す必要が生じるおそれがあります。
2 代襲相続人になれる人・なれない人
- なれる人:先に亡くなった相続人の子。その子も先に亡くなっていれば、さらにその子(ひ孫)が相続人になる場合があります(再代襲。民法887条3項)。
- なれない人:亡くなった相続人の配偶者。
- 注意が必要な人:養子縁組の前に生まれていた養子の子は、被相続人の直系卑属ではないため、代襲相続人になれません(民法887条2項ただし書)。
- 相続放棄をした場合:相続放棄をした人は、初めから相続人とならなかったものとみなされ(民法939条)、代襲の原因(死亡・欠格・廃除)にもあたらないため、その人の子は代襲相続をしません。
- 兄弟姉妹が相続人になる場合:代襲は1代限りで、甥・姪までとされています(民法889条2項)。
※ 昭和56年1月1日より前に開始した相続では、兄弟姉妹が相続人になる場合の代襲相続に、甥・姪までという制限がありませんでした(昭和55年改正。法務省資料)。
3 戸籍での調べ方
- 被相続人の出生から死亡までの戸籍で、子が先に亡くなっていないかを確認します。
- 先に亡くなった子の戸籍(除籍謄本など)を取り、その子に子(孫)が記載されているかを確認します。子の戸籍には、その子が出生した記録や、子の子が同じ戸籍に入っていた記録があります。
- 子が戸籍から出て別の戸籍を作っている場合もあります。婚姻や転籍などで、先に亡くなった子の戸籍が複数に分かれるため、本籍を追って出生から死亡までの連続した戸籍を確認します。
- 孫が見つかれば、孫の現在の戸籍と住民票(または戸籍の附票)で、生存と現住所を確認します。
4 実務上つまずきやすい点
- 先に亡くなった方が戦前・戦後間もない時期の場合、戸籍が古く、判読しにくい文字や書式に出会います(手書きの崩し字、旧字体等)。読み違いを防ぐため、原本での確認が欠かせません。
- 戸籍の記載が判読困難な場合は、記載を断定せず、確認が取れるまで相続人を確定しないことが大切です。
- 孫の有無が戸籍から確認できないと、「代襲相続人がいない」と確定できず、法定相続分の計算も確定できません。
5 よくある質問
Q. 先に亡くなった兄の家族と、長年連絡を取っていません。それでも調べられますか?
A. 戸籍や戸籍の附票をたどって、住所を調べることができる場合があります。取得の方法や範囲は、関係性によって異なります。
Q. 代襲相続人が未成年の場合はどうなりますか?
A. 未成年の相続人がいる場合、親権者(親)と子の利益が相反する行為(親も相続人である遺産分割協議など)については、家庭裁判所に特別代理人の選任を請求する必要があります(民法826条)。
Q. 孫の相続分はどれくらいですか?
A. 先に亡くなった親(被相続人の子)が受けるべきであった相続分を、代襲相続人(孫)が引き継ぎます。孫が複数の場合は、その分を等しく分けます(民法901条1項)。
6 まとめ・ご相談の目安
代襲相続人の有無は、戸籍を出生から死亡まで連続して確認しなければ確定できません。次のような場合は、ご相談ください。
- 先に亡くなった方の戸籍が複数に分かれ、どこまで集めればよいか分からない
- 古い戸籍が読み取れない
- 代襲相続人と連絡が取れない(協議が進まない場合、弁護士への相談が必要となることもあります)
当事務所では、相続人調査のための戸籍の収集・読み取りと、相続関係の整理について、ご相談・ご依頼をお受けしています。

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