※ この記事は、上場株式・投資信託の相続手続きに関する一般的な解説です。この記事は令和8年10月時点の法令・制度に基づいています。個別の事情により結論が異なることがありますので、具体的な判断は専門家にご相談ください。
1 株式・投資信託は「移管」で引き継ぐ
証券会社の口座にある上場株式や投資信託は、預金のように解約してお金で受け取るのではなく、相続人の証券口座に移す(移管する)のが基本です。相続人がその証券会社に口座を持っていない場合は、新たに口座を開設します。移管した後に売却するかどうかは、相続人が判断します。
2 手続きの流れ
- 証券会社に連絡し、口座の名義人が亡くなったことを伝える(口座は取引停止になります)
- 相続開始日時点の残高証明書を請求する(遺産分割や相続税の申告で使います)
- 遺言書がなければ、遺産分割協議で株式・投資信託を誰が取得するかを決める
- 証券会社所定の相続手続依頼書に、戸籍(または法定相続情報一覧図の写し)、遺言書または遺産分割協議書、印鑑証明書などを添えて提出する
- 取得する相続人の口座に移管される
3 証券会社の口座がない株式(特別口座)
株券の電子化(平成21年1月)の際に証券会社の口座に移されなかった株式は、発行会社が指定した信託銀行などの特別口座で管理されています。亡くなった方に届いていた配当金の通知や株主総会の案内から、株主名簿管理人(信託銀行など)を確認し、そこで相続の手続きをします。
4 当事務所の実務から
当事務所の相続手続きでは、不動産の名義変更と並行して、次のように進めることとしています。
- 戸籍などの必要書類をお預かりし、金融機関・証券会社の所定の書式を取り寄せる
- 相続人全員に押印していただく書面を作成し、まとめて押印していただく
- 証券会社の口座の名義変更・移管と、取得する相続人の口座開設の手続きを進める
- 投資信託がある場合は、取得する相続人に対して証券会社からリスクの説明が行われることがあるため、その日程も見込んでおく
金融機関によっては、取得する相続人本人への意思確認を求めることがあります。
5 注意点
- 遺産分割協議書には、証券会社名・口座番号・銘柄などで取得する財産を特定して記載します。銘柄ごとに取得者を分けることもできます。
- 株式の評価額は日々変わるため、遺産分割で金額を基準に分ける場合は、いつの時点の価額で計算するかを相続人間で決めておきます。
- 単元未満株や、手続きをしないまま残っている配当金がないかも確認します。
- 相続税の計算や譲渡所得の扱いは、税理士にご確認ください。
6 当事務所でのご相談から:証券口座の相続で時間がかかる点
証券会社ごとに必要書類や手続が異なることがあります。また、証券口座の名義変更や移管など、金融機関との手続に時間がかかることがあります。
7 当事務所にご依頼いただく場合の流れと費用
- ご相談(金融機関と口座の確認)
- 委任状などをお送りし、ご記入・ご返送いただく
- 司法書士が戸籍を集め、金融機関ごとに手続き書類を準備する
- 金融機関で解約・名義変更の手続きをする
報酬の目安は預貯金の相続手続の料金ページをご覧ください。
8 よくある質問
Q. 亡くなった人がどの証券会社に口座を持っていたか分かりません。
A. 証券保管振替機構(ほふり)に登録済加入者情報の開示を請求すると、口座を開設していた証券会社などが分かります。
Q. 相続人の口座を作らずに、売却して代金を受け取れますか?
A. 証券会社によっては、相続手続きの中で売却して代金を支払う取扱いをしている場合があります。証券会社に確認します。
9 まとめ・ご相談の目安
株式・投資信託は、残高証明書で内容を確認し、遺産分割の後に相続人の口座へ移管します。特別口座で管理されている株式もあるため、配当金の通知なども手がかりに調べましょう。
- 証券会社の相続手続きの書類が多くて困っている
- 不動産・預貯金・株式の相続手続きをまとめて任せたい
- どの証券会社に口座があるか分からない
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この記事の監修者
司法書士 川西 祐輔(ウィルパートナー司法書士事務所 代表)
大阪司法書士会所属(登録番号 大阪第4855号)/簡裁訴訟代理等関係業務認定/公益社団法人成年後見センター・リーガルサポート会員。相続登記・遺言・相続放棄・成年後見・債務整理・不動産登記・商業登記を取り扱っています。