※ この記事は、被相続人が所有していた不動産の調べ方に関する一般的な解説です。この記事は令和8年9月時点の法令・制度に基づいています。証明書の手数料や請求方法は、各市区町村・法務局の案内もあわせてご確認ください。
1 結論:固定資産税の書類だけでは漏れが出ることがあるため、複数の方法を組み合わせて調べます
相続登記では、被相続人が所有していた不動産を漏れなく把握することが重要です。登記漏れがあると、何年も後に気づいて改めて相続人全員の協力が必要になったり、その間に次の相続が起きて手続が複雑になったりします。主な調べ方は次のとおりです。
- 固定資産税の納税通知書(課税明細書)
- 名寄帳(なよせちょう)
- 固定資産評価証明書
- 所有不動産記録証明書(令和8年2月2日から)
- 権利証(登記済証)・登記識別情報通知、過去の売買契約書など
2 それぞれの特徴
2-1 固定資産税の納税通知書
毎年、市区町村から届く通知書で、課税されている不動産が記載されています。ただし、固定資産税が課税されない土地(評価額が免税点未満の土地や、公衆用道路とされている私道など)は記載されないことがあります。
2-2 名寄帳
市区町村が、所有者ごとに不動産をまとめた台帳です。非課税の不動産も記載されることが多く、納税通知書より網羅性が高いのが特徴です。ただし、その市区町村内の不動産しか分からないため、他の市区町村にある不動産は、それぞれの市区町村で確認する必要があります。相続人が請求する場合は、戸籍謄本などで相続人であることを示します。
2-3 固定資産評価証明書
不動産の評価額を証明する書類で、相続登記の登録免許税の計算に使います。名寄帳とあわせて取得すると便利です。
2-4 所有不動産記録証明書
令和8年2月2日から始まった制度で、登記名義人の氏名・住所をもとに、全国の不動産から該当するものを一覧にした証明書を法務局で取得できます。登記名義人の相続人も請求できます。
ただし、登記記録上の氏名・住所と検索条件が一致しないと抽出されないため、被相続人の過去の住所や旧姓なども含めて検索条件を工夫する必要があります。また、登記簿がコンピュータ化されていない不動産は対象外です。
3 おすすめの調べ方の順序
- 手元の書類(納税通知書、権利証、売買契約書など)を確認する
- 被相続人の住所地や、不動産がありそうな市区町村で名寄帳を取得する
- 所有不動産記録証明書で、他の地域の不動産がないか確認する(過去の住所でも検索する)
- 見つかった不動産の登記事項証明書を取得し、名義人や共有持分、抵当権の有無を確認する
4 見落としやすい不動産
- 私道の共有持分:自宅前の道路が複数の家の共有になっていることがあります。
- 祖父母名義のままの土地:被相続人が相続登記をしていなかった土地は、被相続人名義で検索しても出てきません。
- 山林・原野:評価額が低く、課税されていないことがあります。
- マンションの敷地や集会所:敷地権化されていない共有部分があることがあります。
5 不動産が見つかったら
相続登記は、相続により不動産を取得したことを知った日から3年以内に申請する義務があります。後から見つかった不動産も対象になるため、見つかった時点で早めに手続を進めましょう。遺産分割協議書に「後日判明した財産の取得者」を定めておくと、再度の協議が不要になる場合があります。
6 司法書士の役割
司法書士は、名寄帳・評価証明書・所有不動産記録証明書などによる不動産の調査、登記事項証明書の確認、遺産分割協議書の作成、相続登記の申請について、ご相談・ご依頼をお受けできます。
7 よくある質問
Q. 名寄帳はどこで取れますか?
A. 不動産がある市区町村の資産税担当窓口などで請求します。郵送で請求できる自治体もあります。名称や手数料は自治体によって異なります。
Q. 所有不動産記録証明書で出てこなければ、不動産はないと考えてよいですか?
A. いいえ。検索条件が登記記録と一致しない場合や、コンピュータ化されていない不動産は抽出されないため、他の方法とあわせて確認することが大切です。
Q. 祖父母名義の土地があるか調べるには?
A. 祖父母の氏名・住所で名寄帳や所有不動産記録証明書を確認する方法があります。祖父母の相続人であることを戸籍で示す必要があります。
8 まとめ・ご相談の目安
亡くなった方の不動産は、納税通知書・名寄帳・所有不動産記録証明書などを組み合わせて漏れなく調べることが大切です。次のような場合には、ご相談をご検討ください。
- 親がどこに不動産を持っていたか分からない
- 祖父母名義のままの土地があるかもしれない
- 調べた不動産の相続登記をまとめて進めたい
当事務所では、不動産の調査から相続登記の申請まで、ご相談・ご依頼をお受けしています。
関連記事
- 「所有不動産記録証明制度」とは
- 昔の相続でも相続登記は必要?義務化の対象・期限(令和9年3月31日)を解説
- 共有者の一人が行方不明の不動産はどうする?「所在等不明共有者の持分取得」制度と相続の10年ルール

TEL:06-7777-3812
営業時間:9:00〜19:00【全国対応】
定休日 :土日祝も相談できます。
お電話いただければ、時間外や土日祝日も含め、柔軟にご相談に応じております。お気軽にお問い合わせください。