※ 本文中の事例は、実務で見られる典型的な問題を一般化した仮想の例であり、実在の依頼者・案件ではありません。この記事は令和8年9月時点の法令・制度に基づいています。
1 結論:普通養子は相続人になり、特別養子はなりません
養子縁組には、大きく普通養子縁組と特別養子縁組があります。普通養子は、養親の子になっても実の親との親族関係が続き、実親の相続人にもなります。これに対し、特別養子は、実の父母およびその血族との親族関係が終了するため、実親の相続人にはなりません。
2 普通養子の場合
- 養子は、縁組の日から養親の嫡出子の身分を取得します(民法809条)。また、養子と養親およびその血族との間には、縁組の日から、血族間と同じ親族関係が生じます(民法727条)。
- 普通養子縁組には、実の親との親族関係を終了させる規定がなく、実の親との親族関係は続きます。実方との親族関係を終了させるのは、特別養子縁組だけです(民法817条の9)。そのため、普通養子は、養親の相続人にも、実親の相続人にもなります。
- 縁組の後に、養子が結婚して氏が変わっても、養親や実親との相続関係は変わりません。氏が変わったことで、戸籍を追いにくくなる点に注意が必要です。
3 特別養子の場合
- 特別養子縁組は、家庭裁判所が要件を満たすと判断したときに、養親となる者の請求により成立するもので(民法817条の2)、養子と実方の父母およびその血族との親族関係は、縁組によって終了します(民法817条の9)。したがって、実親の相続人にはなりません。
- 例外として、夫婦の一方が他の一方の嫡出子(特別養子縁組以外の縁組による養子を除く)の養親となる場合には、その他の一方およびその血族との親族関係は終了しません(民法817条の9ただし書、817条の3第2項ただし書)。
4 どちらか、戸籍でどう見分けるか
養子縁組の種類(普通養子か特別養子か)は、戸籍の身分事項欄などの記載から確認します。記載を読み違えると、相続人を誤って確定するおそれがあるため、判読しにくい記載や、種類が明らかでない記載は、断定せず、原本で確認し、必要に応じて法務局や市区町村に確認します。
5 実務上の注意点
- 養子に出た子がいるかどうかを、親族の話だけで判断しないことが大切です。被相続人の出生から死亡までの戸籍で、子の記載が縁組により除籍されていないかを確認します。
- 養子に出た子の現在の氏名・住所は、養子先の戸籍や住民票(戸籍の附票)で確認します。
- 養子に出た子が相続人と判断される場合、遺産分割協議には全員の参加が必要です。欠けたまま協議しても、有効とならない可能性があります。
- 縁組の種類の判断が難しい場合は、司法書士や、事案によっては弁護士への確認が適しています。
6 よくある質問
Q. 養子に出た兄弟は、私の親の遺産を相続できますか?
A. 普通養子であれば、実親の相続人となる可能性があります。特別養子であれば、実親の相続人にはなりません。戸籍で縁組の種類を確認する必要があります。
Q. 養子縁組をした後に離縁した場合はどうなりますか?
A. 離縁により、養親との親族関係は終了します。戸籍の記載を時系列に整理して確認します。
Q. 養子になった子が、養親と実親の両方から相続できますか?
A. 普通養子では、養親と実親の両方について、相続人となる可能性があります。
7 まとめ・ご相談の目安
養子の相続関係は、縁組の種類で結論が変わります。次のような場合は、専門家への確認をおすすめします。
- 相続人の中に、養子に出た人・迎えた人がいる
- 戸籍の縁組の記載が読み取りにくい
- 養子に出た人の所在が分からない
当事務所では、戸籍による相続人の整理について、ご相談・ご依頼をお受けしています。

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