コラム

親族間・知人間で不動産を売買するとき 登記の流れと注意点

※ この記事は、不動産会社を通さない個人間の不動産売買と登記に関する一般的な解説です。この記事は令和8年10月時点の法令・制度に基づいています。個別の事情により結論が異なることがありますので、具体的な判断は専門家にご相談ください。

1 不動産会社を通さない売買もできる

親から子へ、親族の間で、または知人に、土地や家を売る場合、不動産会社に仲介を頼まずに当事者同士で売買することもできます。ただし、売買契約書の作成や代金の支払い、所有権移転登記などを、当事者が自分たちで段取りする必要があります。

2 当事務所の実務から

当事務所では、個人間の売買について、次のように進めています。

  • ヒアリングシートに、売主・買主の住所・氏名・連絡先、対象の不動産、売買価格を記入していただく
  • 司法書士が不動産を調査(登記事項証明書・固定資産税評価額の確認)したうえで、売買契約書などの書類をお送りする
  • 代金の支払いと書類の受渡しの日を決め、登記に必要な書類を確認してから、所有権移転登記を申請する

3 登記の流れと必要書類

  • 売主:権利証(登記済証)または登記識別情報、印鑑証明書(発行後3か月以内)、実印、本人確認書類。登記簿上の住所が現住所と違う場合は住民票なども必要です。
  • 買主:住民票の写し、本人確認書類
  • 登録免許税:土地は固定資産税評価額の1000分の15(令和8年度税制改正で3年延長された軽減税率。令和11年3月31日までの登記)、建物は1000分の20が原則で、自己居住用の住宅は軽減措置があります。
  • 抵当権などが残っている場合は、代金の支払いと同時に抹消します。

4 価格の決め方に注意

親族間の売買では、相場より極端に低い価格にすると、時価との差額について買主に贈与税がかかることがあります(「低額譲渡」)。価格は、固定資産税評価額や近隣の取引事例、不動産会社の査定などを参考に決めます。税金の判断は税理士にご確認ください。

5 その他の注意点

  • 代金の支払いは、記録が残るよう振込みにするのが安全です。
  • 買主が住宅ローンを使う場合、金融機関から重要事項説明書や仲介業者の関与を求められることがあり、個人間売買では融資が受けにくいことがあります。
  • 農地の売買には農業委員会の許可が必要です。
  • 建物の状態(雨漏り・シロアリなど)や境界について、売主が知っていることを書面で伝えておくと、後のトラブルを防げます。

6 当事務所でのご相談から:事前に確認することと、価格の決め方

個人間の売買では、売買代金、支払時期・方法、所有権移転の時期、固定資産税などの精算、登記に必要な書類などを事前に確認します。親族間であっても、後からトラブルにならないよう、売買契約書を作成しておくことが重要です。

売買価格は、固定資産税評価額だけで単純に決めるのではなく、実際の不動産の価値や取引の事情を考慮する必要があります。特に親族間売買では税務上の問題が生じる可能性もあるため、必要に応じて税理士への確認をご案内しています。

7 よくある質問

Q. 売買契約書は自分たちで作ってもよいですか?

A. 作成は可能ですが、登記に必要な記載(不動産の表示・代金・所有権の移転時期など)が漏れないよう、登記を依頼する司法書士に確認してもらうと安心です。

Q. 親の家を買い取る代わりに、ローンを引き継ぐことはできますか?

A. 金融機関の承諾が必要です。債務の引受けと抵当権の変更登記が別に必要になることがあります。

8 まとめ・ご相談の目安

親族間・知人間の売買は、不動産会社を通さなくてもできますが、契約書・代金の支払い・登記の段取りを確実に行う必要があります。価格の決め方と税金にも注意しましょう。

  • 親族や知人と不動産を売買したい
  • 売買契約書の作成から登記まで任せたい
  • 抵当権の抹消も同時に行いたい

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