※ この記事は、家族信託の信託口口座に関する一般的な解説です。この記事は令和8年10月時点の法令・制度に基づいています。個別の事情により結論が異なることがありますので、具体的な判断は専門家にご相談ください。
1 信託口口座とは
家族信託では、親(委託者)の財産を子(受託者)に託して管理してもらいます。金銭を信託する場合、受託者は、信託された金銭を自分の財産と分けて管理する義務があります(信託法34条)。そのための専用の口座が「信託口口座」で、口座名義は「委託者○○ 受託者○○ 信託口」のような形になります。
2 信託口口座のメリット
- 受託者の個人の財産と明確に区別できる
- 受託者が亡くなっても、受託者の相続財産として扱われにくい
- 委託者が認知症になっても、口座が凍結されずに受託者が管理を続けられる
受託者個人の名前の口座で管理する方法もありますが、受託者の財産と混ざりやすく、受託者が亡くなったときに凍結されるおそれがあります。
3 金融機関によって対応が大きく異なる
信託口口座は、どの金融機関でも作れるわけではありません。対応している金融機関でも、手数料や条件はさまざまです。
- 信託口口座の開設を受け付けていない金融機関がある
- 口座開設に手数料がかかる金融機関、無料の金融機関がある
- 信託契約書を公正証書で作ることを条件にしている金融機関が多い
- 信託契約書の内容(条項)について、事前に金融機関の審査を受ける必要がある
4 当事務所の実務から
当事務所が家族信託のご相談に際して金融機関の対応を確認した際も、取扱いの有無、手数料、必要書類は金融機関ごとに大きく異なりました。たとえば、信託契約書に加えて家族関係が分かる資料(家系図など)の提出を求められる例、受託者が専門家とともに支店に出向いて事前確認の依頼をする必要がある例、信託口口座を年金の受取口座にはできない例がありました。金融機関の取扱いは変わることがあるため、信託契約書を作る前に、利用したい金融機関に最新の条件を確認するようにしています。
5 開設までの流れ
- 信託する財産と、利用したい金融機関を決める
- 金融機関に信託口口座の取扱いと条件を確認する
- 信託契約書の案を作り、必要に応じて金融機関の事前審査を受ける
- 公証役場で信託契約を公正証書にする
- 受託者が金融機関で信託口口座を開設し、委託者の口座から信託する金銭を移す
6 当事務所でのご相談から:口座開設で注意していること
信託口口座は金融機関によって取扱いや条件が異なるため、事前に金融機関へ確認する必要があります。当事務所では、信託契約を作れば必ず希望する口座を開設できるとは限らない点に注意しています。
7 よくある質問
Q. 信託口口座でローンを借りられますか?
A. 受託者が信託財産のために借入れをする「信託内融資」に対応している金融機関は限られます。アパートの建替えなどを予定している場合は、早めに確認します。
Q. 委託者の年金を信託口口座に入れられますか?
A. 年金の受取口座は本人名義である必要があるため、委託者の口座で受け取った後、必要に応じて信託口口座に移す方法がとられます。
8 まとめ・ご相談の目安
信託口口座は、信託された金銭を受託者の財産と分けて管理するための口座です。金融機関によって対応が大きく異なるため、信託契約書を作る前に条件を確認しましょう。
- 家族信託で預金を管理したい
- 信託口口座を作れる金融機関を知りたい
- 信託契約書の作成から口座開設まで相談したい
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この記事の監修者
司法書士 川西 祐輔(ウィルパートナー司法書士事務所 代表)
大阪司法書士会所属(登録番号 大阪第4855号)/簡裁訴訟代理等関係業務認定/公益社団法人成年後見センター・リーガルサポート会員。相続登記・遺言・相続放棄・成年後見・債務整理・不動産登記・商業登記を取り扱っています。