コラム

相続人が海外に住んでいる場合の相続手続き 印鑑証明書の代わりになる署名証明・在留証明

※ この記事は、海外に住む日本国籍の相続人がいる場合の相続手続に関する一般的な解説です。この記事は令和8年9月時点の情報に基づいています。在外公館での手続や手数料は、外務省や各在外公館の案内をご確認ください。

1 結論:海外在住の相続人は、在外公館で「署名証明」「在留証明」を取得して、印鑑証明書・住民票の代わりにします

遺産分割協議による相続登記では、相続人全員の印鑑証明書が必要になり、不動産を取得する人の住民票も必要です。しかし、海外に住んでいて日本に住民登録がない相続人は、印鑑証明書や住民票を取得できません。そこで、現地の日本大使館・総領事館(在外公館)で次の証明を受けるのが一般的です。

  • 署名証明(サイン証明):印鑑証明書の代わり
  • 在留証明:住民票(住所の証明)の代わり

2 署名証明(サイン証明)

署名証明は、申請者の署名(及び拇印)が本人のものであることを在外公館が証明するものです。外務省の案内では、次の2つの形式があります。

  • 形式1:申請者が領事の面前で署名した書類(遺産分割協議書など)と証明書をとじ合わせて割印するもの
  • 形式2:署名を単独で証明するもの

申請者本人が在外公館に出向き、領事の面前で署名する必要があり、代理申請や郵送での申請はできないとされています。遺産分割協議書に使う場合は、協議書とつづり合わせる形式1が確実なことが多いため、事前に日本側(司法書士など)と相談しておくと安心です。

3 在留証明

在留証明は、海外での現在の住所(または過去の住所)を在外公館が証明するものです。不動産を取得する相続人の住所を証明する書類として使います。在留証明は、一定の条件のもとで郵送やオンラインでの申請が認められる場合もあります。

4 手続の進め方

  1. 日本側で戸籍を集め、相続人と遺産の内容を確定する
  2. 遺産分割協議書(案)を作成し、海外の相続人と内容を確認する
  3. 協議書を海外の相続人に送り、在外公館で署名証明(形式1)を受けてもらう
  4. 不動産を取得する場合は、在留証明もあわせて取得してもらう
  5. 日本に返送してもらい、相続登記を申請する

国際郵便の往復や在外公館の予約に時間がかかることがあるため、スケジュールには余裕を持ちましょう。相続登記には、相続により不動産を取得したことを知った日から3年以内という申請期限があります。

5 注意したいポイント

  • 日本国籍が前提:在外公館の署名証明・在留証明は、日本国籍を持つ方が対象です。外国籍を取得している相続人は、現地の公証人(ノータリー)による認証など、別の方法を検討する必要があります。
  • 遠方の在外公館:住んでいる場所から在外公館が遠い場合は、出張サービスの有無なども確認しましょう。
  • 書類の日付:金融機関の手続では、証明書の発行日から一定期間内のものを求められることがあります。
  • 相続放棄をする場合:海外在住でも、日本の家庭裁判所に相続放棄の申述をすることができます。期限(原則3か月)に注意が必要です。

6 司法書士の役割

司法書士は、戸籍の収集、遺産分割協議書の作成、海外在住の相続人への必要書類のご案内、署名証明・在留証明を使った相続登記の申請について、ご相談・ご依頼をお受けできます。

7 よくある質問

Q. 一時帰国したときに日本で手続できますか?

A. 日本に住民登録がない場合は、日本で印鑑証明書を取得できないのが一般的です。帰国中に公証役場で署名の認証を受ける方法などもありますが、使える書類かどうか事前に確認が必要です。

Q. 署名証明の手数料はいくらですか?

A. 外務省の案内では、署名証明は1通につき邦貨1,700円相当、在留証明は1通につき邦貨1,200円相当とされています(現地通貨で支払います)。変更される場合があるため、在外公館で確認してください。

Q. 海外の相続人の戸籍はどうなりますか?

A. 日本国籍を持っていれば、日本に戸籍があります。相続人であることは、日本の戸籍で確認します。

8 まとめ・ご相談の目安

海外に住む相続人がいる場合は、在外公館の署名証明・在留証明を使って手続を進めます。次のような場合には、ご相談をご検討ください。

  • 相続人の中に海外在住の人がいる
  • 外国籍を取得した相続人がいる
  • 海外とのやり取りを含めて、相続登記をまとめて任せたい

当事務所では、海外在住の相続人がいる場合の書類のご案内から相続登記の申請まで、ご相談・ご依頼をお受けしています。

関連記事

お電話でのお問い合わせ

お電話でのお問合せはこちら
TEL:06-7777-3812
営業時間:9:00〜19:00【全国対応】
定休日 :土日祝も相談できます。
お電話いただければ、時間外や土日祝日も含め、柔軟にご相談に応じております。お気軽にお問い合わせください。

関連記事

TOP