※ この記事は、取締役の就任・辞任による役員変更登記に関する一般的な解説です。この記事は令和8年10月時点の法令・制度に基づいています。個別の事情により結論が異なることがありますので、具体的な判断は専門家にご相談ください。
1 役員が変わったら2週間以内に登記
株式会社の取締役・代表取締役・監査役が就任・辞任・退任したときは、2週間以内に本店所在地の法務局に役員変更の登記を申請します(会社法915条1項)。登録免許税は、資本金の額が1億円以下の会社で1万円です。登記を怠ると過料の対象になることがあります。
2 取締役を追加するとき(就任)
- 株主総会議事録:取締役の選任は株主総会の普通決議で行います。
- 就任承諾書:新しい取締役が就任を承諾したことを示す書面です。
- 印鑑証明書:取締役会を置いていない会社では、新しい取締役の就任承諾書に押した印鑑の印鑑証明書が必要です。取締役会設置会社では、代表取締役についてのみ必要になるなど、会社の機関設計で扱いが異なります(商業登記規則61条)。
- 本人確認証明書:印鑑証明書を添付しない取締役・監査役については、住民票の写しや運転免許証の写し(本人の原本証明付き)など、本人確認のための書面が必要です(同条7項)。
- 代表取締役を新たに選ぶ場合は、選定を証する書面(取締役会議事録・互選書など)も必要です。
3 取締役が辞任するとき
- 辞任届:辞任の意思表示を示す書面です。
- 代表取締役が辞任する場合:辞任届に、会社の登記所に届け出ている印鑑を押すか、個人の実印を押して印鑑証明書を添付する必要があります(商業登記規則61条8項)。なりすましによる辞任の登記を防ぐための規定です。
- 辞任によって、定款や法律で定めた取締役の人数を下回る場合は、後任が就任するまで、辞任した取締役が引き続き取締役としての権利義務を持ち(会社法346条1項)、辞任の登記だけをすることはできません。後任の選任とあわせて登記します。
4 当事務所の実務から
当事務所では、役員変更のご依頼を受けると、会社の登記事項証明書と定款を確認したうえで、会社ごとの「必要書類のご案内」をお作りし、株主総会議事録・就任承諾書などの押印書類をお送りしています。代表取締役の住所変更が必要な場合は、あわせて案内しています。
5 あわせて確認すること
- 他の役員の任期が切れていないか
- 代表取締役の住所や氏名が変わっていないか
- 取締役会を置くかどうかなど、機関設計を見直す必要がないか
6 当事務所でのご相談から:多いケースと、あわせて確認すること
役員変更のご相談には、役員の辞任や追加、任期満了による重任、親族への役員交代など、さまざまなケースがあります。役員変更を長期間放置していて、登記が必要になってからご相談いただくケースにも注意が必要です。
役員変更の際は、現在の定款や登記記録を確認し、任期、取締役の構成、代表取締役の変更の有無などを確認します。会社の印鑑や印鑑届出など、登記以外に必要になる手続きも確認します。
7 よくある質問
Q. 家族を取締役に加える場合も同じ手続きですか?
A. 同じです。株主総会での選任と、本人の就任承諾、必要な印鑑証明書・本人確認証明書をそろえます。
Q. 辞任したのに登記をしてもらえません。
A. 会社が辞任の登記をしない場合、辞任した取締役は会社に登記を求めることができます。応じない場合は訴訟で解決を図ることになり、地方裁判所の手続きになることがあります。
8 まとめ・ご相談の目安
取締役の就任・辞任は、2週間以内に役員変更の登記が必要です。就任では印鑑証明書や本人確認証明書、代表取締役の辞任では届出印か実印の押印が求められるなど、書類の要件に注意しましょう。
- 取締役を追加したい、辞任したい
- 役員の任期が切れているか確認したい
- 役員変更の登記をまとめて任せたい
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