コラム

会社の社長・役員が亡くなったら?役員変更登記(死亡による退任)の期限と、株式の相続

※ この記事は、株式会社の取締役・代表取締役が亡くなった場合の登記手続に関する一般的な解説です。この記事は令和8年9月時点の法令・制度に基づいています。会社の定款や役員構成によって必要な手続が異なるため、個別の確認が必要です。

1 結論:役員が亡くなったら、2週間以内に「死亡による退任」の登記を申請する必要があります

株式会社の取締役や代表取締役、監査役などの役員は、登記事項です。役員が亡くなると、その日に退任したことになるため、会社は2週間以内に、本店所在地を管轄する法務局で変更の登記を申請しなければなりません(会社法915条1項)。登記を怠ると、代表者が100万円以下の過料に処せられることがあります(会社法976条1号)。

2 まず確認すること

  • 残りの役員の人数:定款や法律で定められた取締役の員数を下回る場合は、後任の取締役を選任する必要があります。
  • 代表取締役がいなくなるか:代表取締役が亡くなった場合は、新しい代表取締役を選ぶ必要があります(取締役会設置会社では取締役会で選定するなど、定款の定めによります)。
  • 亡くなった方が株主でもあったか:オーナー社長の場合、株式の相続も問題になります。

3 登記に必要な主な書類

  • 登記申請書
  • 死亡を証する書面(戸籍謄本、死亡診断書の写しなど)
  • 後任役員を選任した場合は、株主総会議事録、就任承諾書、印鑑証明書など
  • 代表取締役を選定した場合は、取締役会議事録(または取締役の互選書・株主総会議事録)など
  • 委任状(代理人が申請する場合)

登録免許税は、役員変更の登記について1件3万円(資本金の額が1億円以下の会社は1万円)です。

4 一人社長の会社(取締役1人・株主1人)の場合

唯一の取締役であり、唯一の株主でもあった方が亡くなった場合、会社の意思決定をする人がいなくなります。この場合は、まず株式を相続する人を決め、その相続人が株主として株主総会を開いて、新しい取締役を選任する流れになります。

  • 株式は相続人の共有となるため、遺産分割協議で株式の取得者を決めるか、共有のまま権利を行使する人(権利行使者)を定めて会社に通知する必要があります(会社法106条)。
  • 遺産分割がまとまらないと、役員を選べず、会社の手続が止まってしまうことがあります。

このような事態に備えて、生前に遺言で株式の承継先を決めておくことが大切です。

5 株式の相続に関する注意点

  • 譲渡制限株式でも相続は可能:相続による取得には、会社の承認は不要です。
  • 相続人等に対する売渡請求:定款に定めがある場合、会社は相続人に対して株式を会社に売り渡すよう請求できることがあります(会社法174条)。定款を確認しましょう。
  • 株主名簿の書換え:株式を相続した人は、会社に株主名簿の名義書換えを請求します。

6 個人の相続手続も並行して

亡くなった役員個人の財産(自宅などの不動産、預貯金、株式)については、通常の相続手続が必要です。会社の登記と個人の相続登記を同時に進めることで、戸籍などの書類を効率よく使える場合があります。

7 司法書士の役割

司法書士は、役員変更登記の申請、株主総会議事録・取締役会議事録などの作成のサポート、定款の確認、株式を含む遺産分割協議書の作成、個人の相続登記について、ご相談・ご依頼をお受けできます。

8 よくある質問

Q. 2週間を過ぎてしまいました。どうすればよいですか?

A. 期限を過ぎても登記の申請は可能です。過料の対象となる可能性はありますが、放置するほど状況が悪化するため、できるだけ早く申請しましょう。

Q. 監査役が亡くなった場合も登記が必要ですか?

A. 監査役も登記事項のため、死亡による退任の登記が必要です。監査役を置く旨の定款の定めがある場合は、後任の選任も検討します。

Q. 合同会社の社員が亡くなった場合は?

A. 合同会社では、社員の死亡は原則として退社事由となり、定款の定めによって相続人が社員の地位を承継できるかどうかが決まります(会社法607条・608条)。定款の確認が必要です。

9 まとめ・ご相談の目安

会社の役員が亡くなったら、2週間以内に死亡による退任の登記が必要です。次のような場合には、ご相談をご検討ください。

  • 社長(代表取締役)が亡くなり、後任をどう決めればよいか分からない
  • 一人社長の会社で、株式の相続も含めて手続を進めたい
  • 会社の登記と個人の相続登記をまとめて任せたい

当事務所では、役員変更登記や株式を含む相続手続について、ご相談・ご依頼をお受けしています。

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