※ この記事は、遺言書の検認に関する一般的な解説です。この記事は令和8年9月時点の法令・制度に基づいています。
1 結論:自宅などで見つかった自筆の遺言書は、開封せずに家庭裁判所で「検認」を受けます
遺言書の保管者や、遺言書を発見した相続人は、相続開始を知った後、遅滞なく家庭裁判所に遺言書を提出して検認を請求しなければなりません(民法1004条1項)。また、封印のある遺言書は、家庭裁判所で相続人またはその代理人の立会いのうえでなければ開封できません(同条3項)。
検認を経ないで遺言を執行したり、家庭裁判所外で封印のある遺言書を開封したりすると、5万円以下の過料に処せられることがあります(民法1005条)。
2 検認とはどんな手続か
検認は、相続人に遺言の存在と内容を知らせるとともに、遺言書の形状、加除訂正の状態、日付、署名など、検認の日現在における遺言書の内容を明確にして、偽造・変造を防止するための手続です。
重要なのは、検認は遺言が有効か無効かを判断する手続ではないという点です。検認を受けたからといって遺言が有効と確定するわけではなく、反対に、検認を受けていないからといって遺言が無効になるわけでもありません。
3 検認が不要なケース
- 公正証書遺言:検認は不要です(民法1004条2項)。
- 法務局の自筆証書遺言書保管制度を利用した遺言書:検認は不要です(法務局における遺言書の保管等に関する法律11条)。
自宅の金庫や仏壇、貸金庫などから見つかった自筆証書遺言は、原則どおり検認が必要です。
なお、令和8年6月24日に公布された改正民法により、パソコン等で作成したデータ等を法務局が保管する「保管証書遺言」が創設される予定で(公布から3年を超えない範囲で政令で定める日に施行予定)、この方式の遺言も検認は不要とされています。
4 検認の申立ての基本
- 申立人:遺言書の保管者、遺言書を発見した相続人
- 申立先:遺言者の最後の住所地の家庭裁判所
- 費用:遺言書1通につき収入印紙800円分と、連絡用の郵便切手(金額は裁判所ごとに異なります)
- 主な添付書類:遺言者の出生から死亡までのすべての戸籍謄本等、相続人全員の戸籍謄本(相続人の順位によって追加の戸籍が必要です)
遺言者に子がいない場合など、兄弟姉妹が相続人になるケースでは、父母の出生からの戸籍まで必要になり、戸籍の収集に時間がかかることがあります。
5 検認の流れ
- 家庭裁判所へ申立て
- 家庭裁判所から相続人全員に検認期日が通知される(出席するかどうかは各相続人の判断で、全員がそろわなくても検認は行われます)
- 検認期日に申立人が遺言書を持参し、出席した相続人の立会いのもとで開封・内容の確認が行われる
- 検認済証明書の申請(遺言書1通につき収入印紙150円分)
遺言に基づいて相続登記や預貯金の手続をする際には、通常、検認済証明書が付いた遺言書が求められます。
6 見つけたときにやってはいけないこと
- 封のある遺言書を自分で開封すること
- 内容に書き込みをしたり、ホチキスを外したりすること
- 他の相続人に知らせずに遺言書を処分・隠匿すること(相続人の欠格事由に当たるおそれがあります。民法891条5号)
誤って開封してしまった場合でも、検認の申立ては必要です。そのままの状態で保管し、早めに手続を進めましょう。
7 司法書士の役割
司法書士は、検認申立書の作成、必要な戸籍の収集、検認後の遺言に基づく相続登記の申請について、ご相談・ご依頼をお受けできます。遺言の有効性自体を争う場合や、相続人間で紛争になっている場合の代理は司法書士の業務範囲を超えることがあり、その場合は弁護士へのご相談をご案内しています。
8 よくある質問
Q. 検認の申立てから期日まで、どのくらいかかりますか?
A. 裁判所の混雑状況や戸籍の準備状況によって異なります。戸籍の収集にも時間がかかるため、見つかった段階で早めに準備を始めることをおすすめします。
Q. 遺言書が複数見つかった場合はどうなりますか?
A. それぞれについて検認が必要です。内容が抵触する部分は、原則として後の遺言で前の遺言を撤回したものとみなされます(民法1023条1項)。
Q. 検認に出席しないと不利になりますか?
A. 出席は義務ではありません。欠席した相続人には、検認が終わったことが通知されます。
9 まとめ・ご相談の目安
自宅などで見つかった自筆の遺言書は、開封せずに家庭裁判所で検認を受けるのが原則です。次のような場合には、ご相談をご検討ください。
- 遺言書らしきものが見つかったが、どうすればよいか分からない
- 検認に必要な戸籍の収集が大変そう
- 検認後の相続登記まで一括で任せたい
当事務所では、遺言書の検認申立書の作成、戸籍の収集、遺言に基づく相続登記について、ご相談・ご依頼をお受けしています。

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