コラム

昔の相続でも相続登記は必要?義務化の対象・期限(令和9年3月31日)を解説

※ 本文中の事例は、実務で見られる典型的な問題を一般化した仮想の例であり、実在の依頼者・案件ではありません。この記事は令和8年9月時点の法令・制度に基づいています。

1 結論:義務化の前の相続も、対象になります

相続登記の申請は、令和6年4月1日から義務になりました。それより前に相続した不動産で、まだ相続登記がされていないものも対象です。この場合、令和9年3月31日までに登記をする必要があります(法務省の案内による)。

2 義務化の基本

  • 不動産を相続で取得した相続人は、自己のために相続の開始があったことと、所有権を取得したことを知った日から3年以内に、相続登記を申請する義務があります(不動産登記法76条の2第1項)。
  • 遺産分割で不動産を取得した場合は、別途、遺産分割の成立から3年以内に、その内容に応じた登記をする必要があります(法務省の案内。同法76条の2第2項)。
  • 正当な理由なく怠った場合、10万円以下の過料が科されることがあります(裁判所が決定)。

3 令和6年4月1日より前の相続の扱い

令和6年4月1日より前に相続したことを知った不動産で、相続登記がされていないものは、令和9年3月31日までに登記をする必要があります。数十年前の相続であっても、名義が被相続人のままであれば、この考え方が当てはまります。

4 期限に間に合わない・相続人が多い場合

  • 相続人申告登記:自分が登記簿上の所有者の相続人であることを、期限内に登記官に申し出る制度です。特定の相続人が単独で申し出ることができ、期間内に申出をした人は、義務を履行したものとみなされます(同法76条の3)。ただし、申出の前に遺産分割が成立していた場合の取得は対象外です。また、これは相続登記そのものではなく、不動産の名義が変わるわけではありません。
  • 正当な理由:たとえば、相続人が極めて多数で、戸籍の収集や他の相続人の把握に多くの時間がかかる場合などは、正当な理由にあたるとされています。個別の事情による判断であり、放置してよいという意味ではありません。

5 司法書士実務上の注意点

  • 古い相続ほど、相続人が増えている場合があります。相続人が亡くなり、次の相続が重なっている場合は、数次相続として整理が必要です。
  • 被相続人の登記簿上の住所と最後の住所が違うと、追加の書類が必要になります。
  • 相続不動産の売却を予定している場合は、義務の期限とは別に、売却の日程から逆算して早めの登記が必要です。
  • 相続が始まった時期によって、法定相続分などの規定が現在と異なる可能性があります。

6 よくある質問

Q. 期限までに登記できなければ、すぐ過料になりますか?

A. 過料は、正当な理由なく怠った場合に、裁判所が決定するものです。まず状況を整理し、相続人申告登記など、期限内に取れる手段を検討します。

Q. 遺産分割がまとまっていなくても、登記の義務は果たせますか?

A. 相続人申告登記で、期限内の義務を果たせる場合があります。遺産分割が成立したら、そこから3年以内に、内容に応じた登記が別途必要です。なお、申出の前に遺産分割が成立している場合は、申出では足りず、遺産分割の内容に応じた登記が必要です。

Q. 自分で手続きできますか?

A. 相続人の数や戸籍の状況によっては、ご自身で対応できる場合もあります。戸籍の収集が難しい場合や、相続人が多い場合は、専門家に相談すると負担が軽減されます。

7 まとめ・ご相談の目安

昔の相続でも、名義が変わっていなければ、令和9年3月31日が一つの目安になります。次のような場合は、ご相談をご検討ください。

  • 相続人が多く、全員を把握できていない
  • 相続の次の相続が重なっている
  • 不動産の売却を予定している

当事務所では、相続人の調査、遺産分割協議書の作成、相続登記の申請について、ご相談・ご依頼をお受けしています。

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