コラム

共有不動産とは?持分の意味と、共有者が一人でできること・過半数で決めること・全員の同意が必要なこと

※ この記事は、不動産の共有に関する一般的な解説です。この記事は令和8年9月時点の法令・制度に基づいています。個別の事情により結論が異なることがありますので、具体的な判断は専門家にご相談ください。

1 共有不動産と「持分」

一つの不動産を複数の人が所有している状態を共有といいます。相続で兄弟姉妹が一緒に実家を相続した場合や、夫婦がお金を出し合って自宅を購入した場合などに生じます。

共有者それぞれが持つ所有権の割合を持分といい、登記事項証明書(登記簿)の甲区に「持分2分の1 A」「持分2分の1 B」のように記載されます。持分は「建物の右半分」のように物理的な場所を指すものではなく、不動産全体に対する権利の割合です。

各共有者は、共有物の全部について、持分に応じた使用をすることができます(民法249条1項)。一方で、不動産全体をどう使うか・どう処分するかは、他の共有者の意向にも左右されます。

2 共有物についての行為は3つに分けられる

共有物についての行為は、法律上、「保存」「管理」「変更」に分けられ、それぞれ必要な同意の範囲が異なります。令和5年4月1日施行の民法改正で、このルールが整理されました。

行為の種類 必要な同意 主な例
保存行為 各共有者が単独でできる(民法252条5項) 雨漏りの修繕、不法占拠者への明渡し請求、法定相続分による相続登記の申請 など
管理行為(軽微な変更を含む) 持分の価格の過半数で決める(民法252条1項) 一定期間内の賃貸、管理者の選任、形状・効用の著しい変更を伴わない工事 など
変更行為 共有者全員の同意が必要(民法251条1項) 不動産全体の売却、建物の建替え・取壊し、長期の賃貸、形状・効用の著しい変更を伴う工事 など

「過半数」は人数ではなく持分の割合で数えます。例えば、Aが持分3分の2、BとCが各6分の1であれば、A一人で過半数になります。一方、持分2分の1ずつの2人の共有では、どちらか一人だけでは過半数になりません。

3 賃貸は期間によって扱いが変わる

共有不動産を人に貸す場合、次の期間を超えない賃貸借などは、持分の過半数で決めることができます(民法252条4項)。

  • 樹木の栽植・伐採を目的とする山林:10年
  • それ以外の土地:5年
  • 建物:3年

これを超える期間の賃貸や、借地借家法の適用により実際には期間どおりに終了しない契約は、共有者全員の同意が必要になると考えられています。建物の賃貸は、借地借家法の更新の規定との関係に注意が必要です。

4 共有物の管理者

令和5年の改正で、共有者は、持分の過半数で共有物の管理者を選ぶことができるようになりました。管理者は、共有物の管理に関する行為をすることができますが、形状・効用の著しい変更を伴う変更を加えるには、共有者全員の同意が必要です(民法252条の2第1項)。共有者の一部が遠方に住んでいて、日常の管理を誰かにまとめて任せたい場合などに活用できます。

5 費用の負担と、使用している共有者の義務

  • 各共有者は、持分に応じて管理の費用や固定資産税などの負担をします(民法253条1項)。
  • 共有者が1年以内にこの負担をしないときは、他の共有者は、相当の償金を支払ってその持分を取得することができます(同条2項)。
  • 共有物を使用する共有者は、別段の合意がない限り、他の共有者に対して、自己の持分を超える使用の対価を償還する義務を負います(民法249条2項)。
  • 共有物を使用する共有者は、善良な管理者の注意をもって使用しなければなりません(同条3項)。

6 連絡の取れない共有者がいる場合

共有者の中に、所在が分からない人や、連絡をしても賛否を明らかにしない人がいると、過半数や全員の同意が集まらないことがあります。令和5年の改正で、次のような裁判所の手続きが設けられました。

  • 所在等が分からない共有者がいる場合に、その共有者以外の共有者の同意で変更を加えることができる旨の裁判(民法251条2項)
  • 所在等が分からない共有者や、催告しても賛否を明らかにしない共有者がいる場合に、それ以外の共有者の持分の過半数で管理に関する事項を決めることができる旨の裁判(民法252条2項)

このほか、所在等が分からない共有者の持分を取得したり、第三者に譲渡したりする制度もあります(関連記事をご覧ください)。

7 司法書士の役割

司法書士は、共有不動産の登記の確認、相続登記や持分移転の登記、裁判所に提出する書類の作成についてご相談・ご依頼をお受けできます。共有者間で意見が対立し、交渉や訴訟の代理が必要になる場合は、司法書士が代理できる範囲に限りがあります(認定司法書士が代理できるのは、簡易裁判所の訴訟の目的の価額が140万円以下の事件に限られます)。その場合は弁護士へのご相談をご案内しています。

8 よくある質問

Q. 自分の持分だけなら、他の共有者の同意なく売れますか?

A. 自分の持分を第三者に譲渡することは、他の共有者の同意がなくてもできます。ただし、持分だけでは買い手が限られ、価格も低くなりやすいのが実情です。不動産全体の売却には全員の同意が必要です。

Q. 相続登記は共有者の一人からでも申請できますか?

A. 法定相続分どおりに相続人全員の共有名義とする相続登記は、保存行為として、相続人の一人から申請することができます。ただし、その後に遺産分割をすると、改めて登記が必要になります。

9 まとめ・ご相談の目安

共有不動産は、行為の内容によって「一人でできる」「過半数で決める」「全員の同意が必要」に分かれます。次のような場合は、ご相談をご検討ください。

  • 相続で不動産が共有になり、今後の管理や売却の進め方を知りたい
  • 共有者の中に連絡の取れない人がいる
  • 共有状態を解消したい

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