※ この記事は、不動産売却の必要書類と登記手続きに関する一般的な解説です。この記事は令和8年10月時点の法令・制度に基づいています。個別の事情により結論が異なることがありますので、具体的な判断は専門家にご相談ください。
不動産を売るときは、売買契約から決済・引渡しまでの間に、売主がいくつもの書類を用意する必要があります。特に登記に使う書類は、決済の当日にそろっていないと所有権移転登記を申請できず、代金の受取りにも影響します。この記事では、売主が用意する書類と取得方法、つまずきやすい点を解説します。
1 結論:登記に使う書類は「権利証・印鑑証明書・住所のつながり」が要です
売買による所有権移転登記では、売主の登記識別情報(または登記済証=権利証)、発行から3か月以内の印鑑証明書、固定資産税評価証明書などが必要です。登記簿上の住所・氏名が現在と違う場合は、先に住所・氏名の変更登記をします。
2 売却の流れ
- 不動産会社に査定を依頼し、媒介契約を結ぶ
- 買主と条件を交渉し、売買契約を結ぶ(手付金の受領)
- 決済の準備(抵当権の抹消書類、登記書類の確認)
- 決済・引渡し:残代金の受領と同時に、司法書士が書類を確認して登記を申請する
- 翌年、譲渡所得があれば確定申告をする
3 売主が用意する主な書類
| 書類 | 取得先・注意点 |
|---|---|
| 登記識別情報通知(または登記済証) | 購入・相続のときに受け取ったもの。再発行はされません |
| 印鑑証明書 | 市区町村役場。発行から3か月以内のもの |
| 実印 | 登記の委任状などに押印します |
| 本人確認書類 | 運転免許証・マイナンバーカードなど顔写真付きのもの |
| 固定資産税評価証明書 | 市区町村役場(東京23区は都税事務所)。登録免許税の計算に使います |
| 住民票・戸籍の附票 | 登記簿の住所と現住所が違う場合に、住所のつながりを示すために使います |
| 地積測量図・境界確認書 | 測量図は法務局で取得できます。境界の確認は土地家屋調査士が担当します |
| 建築確認済証・検査済証 | 紛失した場合は、市役所などで建築確認台帳記載事項証明書を発行してもらえることがあります |
買主の住宅ローンや売主のローン返済がある場合は、金融機関の書類も必要になります。
4 権利証(登記識別情報)をなくしたとき
登記識別情報・登記済証は再発行されません。売却の登記では、次のいずれかの方法で本人確認を補います。
- 事前通知:法務局から売主の住所に本人限定受取郵便で通知が届き、期間内(通常2週間)に申出をする方法
- 本人確認情報:司法書士が売主と面談して本人であることを確認し、その内容を記載した書面を登記申請と一緒に提出する方法(決済と同時に登記を確定させたい場合に使われます)
- 公証人による本人確認:公証役場で認証を受ける方法
5 登記簿の住所・氏名が今と違うとき
引越しや結婚で住所・氏名が変わっている場合は、所有権移転登記の前に住所・氏名変更登記をします。令和8年4月1日からは、住所・氏名の変更登記も義務になっています(住所・氏名変更登記の義務化)。何度も引越していると、住民票の除票や戸籍の附票で住所のつながりを示す必要があります。
6 当事務所の実務から:決済前の確認
当事務所では、決済の前に、関係する金融機関に次の点を確認しています。
- 売主のローンの金融機関(抵当権の抹消):抹消書類の準備日、同じ抵当権が他の物件にも設定されている共同担保がないか、当日の出席の有無と書類の受取方法
- 買主のローンの金融機関(抵当権の設定):決済の日時・場所、債権額、買主の住民票・印鑑証明書をどちらが預かるか
ローンを完済済みなのに抵当権が残っている場合は、売却前に抹消しておきます(完済済みの抵当権が残っていたら)。
7 相続した不動産を売るとき
亡くなった人の名義のままでは売れないため、先に相続登記をします(相続した不動産を売却するには)。また、亡くなった人が購入したときの売買契約書などは、譲渡所得の計算(取得費)に使うため、遺品整理で処分しないよう注意します。相続税を納めた場合の取得費加算の特例や、空き家の3,000万円特別控除などの税金の扱いは、税理士または税務署にご確認ください。
8 よくある質問
Q. 印鑑証明書は契約のときに取ったもので足りますか?
A. 登記に使う印鑑証明書は、登記申請の日に発行から3か月以内である必要があります。契約から決済まで期間があく場合は、決済の日付に合わせて取得します。
Q. 売却にかかる税金の税率は?
A. 譲渡所得の税率は、売った年の1月1日時点の所有期間が5年を超えるかどうかで異なります。具体的な計算や申告は、税理士または税務署にご確認ください。
9 まとめ・ご相談の目安
売却の手続きでは、権利証の有無、登記簿の住所・氏名、抵当権の有無を早めに確認しておくことが、決済当日のトラブルを防ぐポイントです。相続した不動産や昔の権利証しかない不動産を売る場合は、相続登記や住所変更登記が必要かどうかも含めて準備を進めましょう。
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