コラム

住所・氏名変更登記の義務化(令和8年4月1日施行) 期限2年・過料と、手続きの流れ・必要書類

※ この記事は、不動産の住所・氏名変更登記の義務化に関する一般的な解説です。令和8年10月時点の法令・制度に基づいています。個別の事情により結論が異なることがありますので、具体的な判断は専門家にご相談ください。

令和8年(2026年)4月1日から、住所や氏名の変更があった場合に、不動産登記簿に変更を反映させることが義務化されました(不動産登記法76条の5)。このページでは、住所・氏名変更登記の義務化に関する詳細情報を提供し、手続き方法や注意点についてもご紹介します。

住所・氏名変更登記義務化の背景

日本では、所有者不明の土地が増加しており、公共事業や地域開発の妨げとなっています。この問題の一因は、不動産登記簿に記載された住所や氏名の変更が反映されていないことです。こうした土地の管理が行き届かず、雑草の繁茂や不法投棄、害虫の発生など、地域の生活環境に悪影響を及ぼすことがあります。

この問題を解決するために、2021年(令和3年)に不動産登記法が改正され、2026年(令和8年)4月1日から住所や氏名の変更登記が義務化されました。なお、2024年(令和6年)4月1日から義務化されたのは相続登記であり、住所・氏名の変更登記とは開始時期が異なります。これにより、所有者の情報が常に最新の状態で管理され、所有者不明土地の問題が解消されることが期待されています。

住所・氏名変更登記の義務化に伴う注意点

住所や氏名が変更された場合、以下の点に注意してください。

変更から登記までの期限

住所や氏名が変更された日から2年以内に変更登記を行う必要があります。例えば、引っ越しや結婚などで住所や氏名が変更された場合、2年以内に登記を行わなければなりません。

罰則

正当な理由なく2年以内に変更登記を行わなかった場合、5万円以下の過料に処せられる可能性があります(不動産登記法164条2項)。過料は刑事罰ではなく、行政上の制裁です。いきなり科されるのではなく、登記官から申請を促す催告があり、それでも申請がされない場合に裁判所へ通知される流れとされています。また、法務省の案内では、検索用情報の申出をしているのに職権による変更登記がまだされていない場合などが「正当な理由」の例として示されています。

過去の変更も対象

2026年(令和8年)4月1日より前に生じた変更で、まだ登記をしていないものも対象となります。この場合は、2028年(令和10年)3月31日までに変更登記を行う必要があります。

手続き方法と必要書類

住所や氏名の変更登記の手続き方法と必要書類について詳しく説明します。

手続き方法

住所や氏名の変更登記の手続きを行うには、以下の手順を踏んでください。

1. 必要書類の収集
住所変更登記の場合、住民票または戸籍附票を用意します。これにより、登記されている住所から現住所までの変遷が明らかになります。
氏名変更登記の場合、戸籍謄本、住民票または戸籍附票を用意します。

2. 登記申請書の作成
法務局のウェブサイトから登記申請書をダウンロードし、必要事項を記入します。記入例を参考にすることで、正確に作成することができます。

3. 法務局への登記申請
登記申請書と必要書類を、不動産所在地を管轄する法務局に提出します。申請書の提出は法務局の窓口だけでなく、郵送でも可能です。郵送の場合、返信用封筒を同封し、「不動産登記申請書在中」と記載して書留で送付します。
登記申請には、不動産個数1個につき1000円の登録免許税を収入印紙で納税する必要があります。たとえば、一戸建ての場合、土地と建物で2000円の登録免許税がかかります。

4. 登記完了
申請から1週間から10日ほどで登記が完了します。申請時に通達された完了日以降に登記完了証を受け取り、登記が完了したことを確認します。

必要書類

住所変更登記の場合、住民票または戸籍附票が必要です。氏名変更登記の場合、戸籍謄本、住民票または戸籍附票が必要です。また、登記事項証明書も登記内容を確認するために必要です。

申請には、不動産個数1個につき1000円の登録免許税がかかります。申請書の提出は、法務局の窓口だけでなく、郵送でも可能です。手続きが完了するまでに1週間から10日ほどかかります。

法務局の職権による変更登記

住所・氏名変更登記の義務化にあわせて、法務局が職権で住所や氏名の変更登記を行う「スマート変更登記」の仕組みが設けられ、令和8年4月1日から運用が始まっています。

個人の場合、所有者があらかじめ生年月日等の「検索用情報」を法務局に申し出ておくと、法務局が定期的に住民基本台帳ネットワークに照会して住所等の変更の有無を確認します。変更があった場合は、変更登記をしてよいかを本人にメール等で確認したうえで、所有者が申請をしなくても、登記官が職権で変更登記を行います。登録免許税はかかりません。検索用情報の申出をしておけば、義務違反に問われることもなくなるとされています。なお、令和7年4月21日以降に所有権の保存・移転などの登記を申請する場合は、検索用情報の申出が必要になっています。それより前から登記名義人となっている方も申出ができます。

法人の場合は、不動産登記に会社法人等番号が登記されていれば、商業・法人登記の変更情報をもとに、職権で住所等の変更登記が行われる仕組みです。

変更登記の実効性と課題

住所や氏名の変更登記を義務化しても、すべてのケースで実効性があるとは限りません。登記費用を捻出できない人や住所公開を望まない人もいます。そのため、上記の職権による変更登記(スマート変更登記)の仕組みが設けられました。

まとめ

2026年(令和8年)4月1日から、住所や氏名の変更があった場合は、変更日から2年以内に変更登記を行うことが義務化されました。正当な理由なく怠ると、5万円以下の過料の対象となります。それより前の変更で未登記のものは、2028年(令和10年)3月31日までに登記が必要です。検索用情報の申出をしておくと、以後の変更は職権で登記されるため便利です。変更登記は比較的簡単な手続きですが、専門家に相談することもお勧めします。変更が生じたら速やかに手続きを進めましょう。

住所・氏名変更登記に関するご質問やご相談がございましたら、お気軽に当司法書士事務所までお問い合わせください。専門のスタッフが親身になって対応いたします。

※ 令和8年9月27日更新:制度の施行状況に合わせて内容を修正しました。

当事務所の実務から:住所のつながりが証明できないとき

住所の変更登記では、登記簿に記録された住所から現在の住所までの移り変わりを、住民票や戸籍の附票で証明します。ところが、何度も引っ越している場合や、古い住民票の除票・附票が保存期間の経過で廃棄されている場合には、つながりを証明できないことがあります。

当事務所では、このような場合に備えて、取扱いを整理した実務メモを使い、案件ごとに次のように進めています。

  • 取得できる住民票・戸籍の附票をすべて集め、どの期間のつながりが欠けているかを特定する
  • 欠けている部分については、市区町村の廃棄の証明書に加え、権利証(登記済証)や固定資産税の納税通知書、本人の上申書など、同一人物であることを示す資料を検討する
  • 必要な資料の組み合わせは事案や法務局の判断で変わることがあるため、申請前に、資料を添えて管轄の法務局に照会する

住所・氏名の変更登記の報酬は、不動産登記の料金表に掲載しています(登録免許税は不動産1個につき1,000円)。

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