コラム

自己破産するとリース契約はどうなる?カーリース・リース物品の引き上げと、残りのリース料の扱い

※ この記事は、自己破産とリース契約に関する一般的な解説です。この記事は令和8年9月時点の法令・制度に基づいています。実際の取扱いは、契約の内容や裁判所・破産管財人の判断によって異なりますので、具体的な判断は専門家にご相談ください。

1 結論:リース物件は原則として返却になり、残りのリース料は他の借金と同じ扱いになります

車(カーリース)、コピー機、パソコン、業務用の機械など、リースで使っている物は、自己破産をすると、多くの場合リース会社に返却(引き上げ)することになります。リース物件の所有者は、利用者ではなくリース会社だからです。

一方、未払いのリース料や、中途解約による残りのリース料は、原則として他の借金と同じく破産債権として扱われ、免責が認められれば支払義務がなくなります。

ただし、申立て前の対応を誤ると、手続きに悪影響が出ることがあります。この記事では、リース会社による引き上げの流れと、申立て前に気を付けたい点を解説します。

2 なぜリース物件は引き上げられるのか

2-1 所有者はリース会社

リース契約では、リース会社が物件を購入し、利用者はリース料を支払って使用する立場にあります。物件の所有権はリース会社にあるため、利用者の財産として処分や配当の対象にはならず、リース会社が契約に基づいて返還を求めることになります。

2-2 契約書の解除条項

多くのリース契約書には、リース料の支払いが滞った場合や、破産手続開始の申立てがあった場合などに、リース会社が契約を解除し、物件の返還と残りのリース料の支払いを求めることができる条項が置かれています。実際にどうなるかは契約書の内容によるため、まずは契約書を確認しましょう。

3 カーリースの場合

3-1 車は返却になるのが原則

カーリースの車も、リース会社の所有物です。自己破産をすると、リース会社から車の返却を求められ、引き上げになるのが一般的です。車検証の「所有者」欄がリース会社になっているかを確認してください。

3-2 仕事で車が必要な場合

通勤や仕事でどうしても車が必要な場合でも、特定のリース会社にだけリース料を払い続けて車を残すことは、後で説明する「偏頗弁済」にあたるおそれがあります。親族が残りのリース料を支払って車を引き取る、といった方法が検討されることもありますが、認められるかどうかは事情によって異なり、裁判所や破産管財人の判断も関わります。自己判断で動く前に、申立て前の段階で相談することが大切です。

3-3 ローンで購入した車との違い

リースではなくローンで購入した車でも、車検証の所有者がローン会社や販売店になっている場合(所有権留保)は、ローン会社などに車を引き上げられることがあります。一方、所有者が本人になっている車は、本人の財産として扱われ、価値によっては破産管財人が換価の対象とします。車の扱いは、契約の形と車検証の記載で大きく変わります。

4 申立て前に気を付けたいこと

4-1 特定の債権者にだけ返済しない(偏頗弁済)

支払いができなくなった後に、特定の債権者(例えばリース会社)にだけ返済すると、他の債権者との公平を害する行為として、破産管財人に取り消される(否認される)ことがあります(破産法162条)。また、免責の判断に影響するおそれもあります。

4-2 リース物件を勝手に売らない・処分しない

リース物件は自分の物ではないため、売却したり処分したりしてはいけません。問題になるおそれがあるうえ、手続きの中で説明を求められることにもなります。

4-3 リース会社も債権者一覧に必ず載せる

リース会社も債権者の一つです。破産者が知りながら債権者名簿に記載しなかった請求権は、免責の対象外になることがあります(破産法253条1項6号)。業務用のリースや、保証人になっているリースも含めて、漏れなく記載しましょう。

4-4 引き上げのときの記録を残す

リース会社が物件を引き上げたときは、引き上げの日付と物件が分かる書面(受領書など)を受け取っておきましょう。裁判所への申立書類で、財産や債権の状況を説明する資料になります。

5 残りのリース料はどうなるか

  • 引き上げた物件をリース会社が売却した場合、その売却代金が残りのリース料に充てられることがあります。
  • それでも残る金額は、破産債権としてリース会社から届け出られ、免責が認められれば支払義務はなくなります。
  • 保証人がいる場合、保証人には請求が行くことがあります。保証人への影響も含めて、事前に確認しておきましょう。

6 事業者(個人事業主)の場合の注意

個人事業主がコピー機や業務用機械などを事業でリースしている場合、事業をやめるのか続けるのかで対応が変わります。事業を続けたい場合は、自己破産ではなく個人再生など他の手続きが検討されることもありますが、リース物件の扱いはやはり契約内容やリース会社との関係によります。早い段階で、全体の方針を相談することをおすすめします。

7 司法書士の役割

自己破産・個人再生は地方裁判所の手続きのため、当事務所では、裁判所に提出する申立書などの書類の作成によりサポートします(司法書士は地方裁判所の手続きで代理人になることはできません)。また、任意整理などで認定司法書士が代理人として債権者と交渉できるのは、対象となる個々の債権の額が140万円以下の場合に限られます。これを超える場合は、ご本人が手続きをするための書類作成によるサポートとなるか、弁護士へのご依頼をご案内します。

8 よくある質問

Q. リース会社から「すぐに返却してほしい」と連絡がありました。応じてよいですか?

A. リース物件はリース会社の所有物なので、返却に応じること自体は問題ないのが通常です。ただし、返却と引き換えに特定の支払いを求められた場合などは、応じる前にご相談ください。

Q. スマートフォンの端末代の分割払いもリースと同じですか?

A. 端末代の分割払いは、リースではなく割賦販売であることが多く、扱いが異なります。契約の形を確認したうえで判断が必要です。

Q. リース物件が古く、リース会社が引き上げに来ません。

A. 価値が低い物件などでは、引き上げがされないこともあります。その場合も勝手に処分せず、リース会社や手続きの中で扱いを確認します。

9 まとめ・ご相談の目安

自己破産をすると、リース物件は原則として返却になり、残りのリース料は破産債権として扱われます。車を残したい、仕事で使う機械がある、といった場合は、申立て前の対応が大切です。次のような場合は、早めのご相談をご検討ください。

  • カーリースやリース契約がある状態で、自己破産を考えている
  • リース会社から返却や一括請求の連絡が来ている
  • 仕事で使う車や機械をどうするか迷っている

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