コラム

公正証書遺言の作り方と費用 必要書類・当日の流れ・証人2人の条件

※ この記事は、公正証書遺言の作成手続に関する一般的な解説です。この記事は令和8年9月時点の法令・制度に基づいています。公証人の手数料は、日本公証人連合会や各公証役場の案内もあわせてご確認ください。

1 結論:公正証書遺言は、公証役場で公証人が作成する最も確実性の高い遺言です

公正証書遺言は、遺言者が公証人に遺言の内容を伝え、公証人がそれを文章にまとめて作成する遺言です(民法969条)。方式の不備で無効になるおそれが小さく、原本は公証役場で保管されるため、紛失や改ざんの心配もありません。また、相続開始後に家庭裁判所の検認を受ける必要もありません(民法1004条2項)。

2 作成の要件(民法969条)

  • 証人2人以上の立会いがあること
  • 遺言者が遺言の趣旨を公証人に口頭で伝えること
  • 公証人が遺言者の話した内容を筆記し、遺言者と証人に読み聞かせる(または閲覧させる)こと
  • 遺言者と証人が、筆記が正確であることを承認して署名・押印すること
  • 公証人が、方式に従って作成した旨を付記して署名・押印すること

2-1 証人になれない人

未成年者、推定相続人・受遺者とその配偶者・直系血族などは証人になれません(民法974条)。家族に頼めないことが多いため、専門職に証人を依頼したり、公証役場で紹介を受けたりするのが一般的です。

3 作成までの流れ

  1. 遺言の内容(誰に何を残すか)を整理する
  2. 必要書類を集め、公証役場に相談・予約する
  3. 公証人が作成した文案を確認する
  4. 作成日に、遺言者・証人2人が公証役場に出向き、内容を確認して署名・押印する
  5. 正本・謄本を受け取る(原本は公証役場で保管)

病気などで公証役場に行けない場合は、公証人に自宅や病院へ出張してもらうこともできます。

4 主な必要書類

  • 遺言者の本人確認資料(印鑑登録証明書と実印、または運転免許証など)
  • 遺言者と相続人の続柄が分かる戸籍謄本
  • 相続人以外に遺贈する場合は、受遺者の住民票など
  • 不動産がある場合は、登記事項証明書と固定資産評価証明書(または納税通知書)
  • 預貯金などは、金融機関名や口座が分かる資料
  • 証人の氏名・住所・生年月日などが分かる資料

必要書類は公証役場によって異なることがあるため、事前に確認しましょう。

5 費用の目安

5-1 公証人の手数料

手数料は公証人手数料令で定められており、令和7年10月1日から改正後の額が適用されています。計算の基本は次のとおりです。

  • 財産を受け取る人ごとに財産の価額を出し、価額に応じた手数料を合計する(例:100万円以下は5,000円)
  • 遺言全体の財産が1億円以下の場合は、「遺言加算」として1万1,000円が加算される
  • 正本・謄本の交付には、枚数に応じた手数料がかかる
  • 出張して作成する場合は、手数料が加算されることがあるほか、公証人の日当と交通費がかかる

具体的な額は財産の内容や分け方によって変わるため、公証役場で見積もりを確認しましょう。

5-2 その他の費用

戸籍謄本や登記事項証明書などの取得費用のほか、証人を専門職に依頼する場合の謝礼、文案の作成を専門家に依頼する場合の報酬がかかります。

6 作成時に検討しておきたいこと

  • 遺言執行者の指定:相続人以外への遺贈がある場合などは、指定しておくと手続を進めやすくなります。
  • 予備的な定め:財産を受け取る人が遺言者より先に亡くなった場合に備えて、次に誰に渡すかを定めておく方法があります。
  • 遺留分への配慮:一部の相続人の取り分を極端に少なくすると、後で遺留分侵害額の請求を受けるおそれがあります。
  • 判断能力:遺言をする時点で、内容を理解できる能力が必要です。体調に不安がある場合は早めに準備しましょう。

7 司法書士の役割

司法書士は、遺言の内容の整理、文案作成のサポート、必要書類の収集、公証役場との調整、証人への就任、相続開始後の遺言に基づく相続登記について、ご相談・ご依頼をお受けできます。

8 よくある質問

Q. 自筆証書遺言と比べて、どちらがよいですか?

A. 費用を抑えたい場合は自筆証書遺言(法務局の保管制度を含む)、確実性や本人の負担軽減を重視する場合は公正証書遺言が向いています。財産の内容やご家族の状況によって選ぶとよいでしょう。

Q. 作った公正証書遺言は、後から変更できますか?

A. 新しい遺言を作成することで、変更・撤回できます。前の遺言と抵触する部分は、後の遺言で撤回したものとみなされます(民法1023条1項)。

Q. 家族は遺言があることをどうやって知るのですか?

A. 相続開始後、相続人などは公証役場で遺言の有無を検索してもらうことができます。

9 まとめ・ご相談の目安

公正証書遺言は、公証人が関与して作成するため、無効になるリスクが小さく、検認も不要な遺言です。次のような場合には、ご相談をご検討ください。

  • 確実に効力のある遺言を残したい
  • 証人を頼める人がいない
  • 不動産を含む財産の分け方を整理したい

当事務所では、公正証書遺言の文案作成のサポート、必要書類の収集、証人の手配、相続開始後の相続登記について、ご相談・ご依頼をお受けしています。

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