コラム

生命保険金は相続財産?受取人固有の財産になる場合と、相続放棄・遺産分割との関係

※ この記事は、生命保険金と相続の関係に関する一般的な解説です。この記事は令和8年9月時点の法令・制度に基づいています。保険契約の内容によって扱いが異なるほか、相続税の扱いは税理士にご確認ください。

1 結論:受取人が指定されている生命保険金は、原則として受取人固有の財産です

被相続人が保険料を払っていた生命保険でも、受取人として特定の人(例えば配偶者や子)が指定されている場合、死亡保険金は、その受取人が保険契約に基づいて取得する受取人固有の財産と考えられています。そのため、原則として民法上の相続財産には含まれず、遺産分割の対象にもなりません。

一方で、相続税の計算では、生命保険金は「みなし相続財産」として課税の対象になります(相続税法3条)。民法上の扱いと税金上の扱いが異なる点に注意が必要です。

2 受取人の指定の仕方による違い

  • 特定の人が受取人:その人の固有の財産になるのが原則です。
  • 受取人が「相続人」と指定されている:相続人が固有の権利として取得すると考えられており、その割合は原則として法定相続分によるとされています。
  • 受取人が被相続人本人:保険金は被相続人の財産となり、相続財産として遺産分割の対象になります。
  • 受取人がすでに亡くなっている:約款や法律の規定によって受取人が決まるため、保険会社に確認が必要です。

3 相続放棄との関係

受取人固有の財産である生命保険金は、相続財産ではないため、相続放棄をしても受け取ることができると考えられています。また、受け取ったからといって、相続を承認したこと(単純承認)にはならないとされています。

ただし、受取人が被相続人本人になっている保険金を受け取って使うと、相続財産を処分したものとして、相続放棄ができなくなるおそれがあります。放棄を検討している場合は、受け取る前に契約内容を確認しましょう。

4 遺産分割・遺留分との関係

受取人固有の生命保険金は、原則として遺産分割の対象にならず、特別受益や遺留分の計算にも含まれないとされています。ただし、保険金の額が遺産全体に比べて著しく大きく、相続人間に著しい不公平が生じるなど特段の事情がある場合には、特別受益に準じて扱われる可能性があると考えられています(最高裁平成16年10月29日決定参照)。

5 相続税の非課税枠

相続人が受け取る生命保険金には、500万円×法定相続人の数までの非課税枠があります(相続税法12条1項5号)。相続税の申告が必要かどうか、非課税枠の計算などは、税理士にご確認ください。

6 請求の手続

  • 保険証券を確認し、保険会社に連絡する
  • 保険会社所定の請求書のほか、被相続人の死亡の記載のある戸籍謄本や死亡診断書、受取人の本人確認書類などを提出する
  • 請求権には時効があり、保険法では3年とされています(保険法95条)。早めに請求しましょう。

7 司法書士の役割

司法書士は、相続人の確定のための戸籍の収集、相続放棄申述書の作成、遺産分割協議書の作成、相続登記について、ご相談・ご依頼をお受けできます。相続税については税理士へのご相談をご案内しています。

8 よくある質問

Q. 借金が多い親の生命保険金を受け取って、相続放棄できますか?

A. 受取人が相続人本人に指定されていれば、原則として受け取ったうえで相続放棄をすることができると考えられています。ただし、契約内容によって異なるため、事前に確認が必要です。

Q. 保険金を他の相続人と分ける必要はありますか?

A. 受取人固有の財産であれば、法律上、他の相続人と分ける義務は原則としてありません。

Q. 相続放棄をした場合も非課税枠は使えますか?

A. 相続税の非課税枠は、相続人(相続放棄をした人を除く)が取得した保険金に適用されるとされています。詳しくは税理士にご確認ください。

9 まとめ・ご相談の目安

受取人が指定された生命保険金は、原則として受取人固有の財産で、相続放棄をしても受け取れるとされています。次のような場合には、ご相談をご検討ください。

  • 借金があるが、生命保険金は受け取りたい
  • 生命保険金を含めて、遺産分割の進め方を整理したい
  • 相続放棄をするかどうか迷っている

当事務所では、相続放棄申述書の作成、遺産分割協議書の作成、相続登記について、ご相談・ご依頼をお受けしています。

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