コラム

遺留分とは?相続人に最低限保障される取り分の割合と、請求の期限(1年・10年)

※ この記事は、遺留分に関する一般的な解説です。この記事は令和8年9月時点の法令・制度に基づいています。遺留分をめぐる具体的な請求や交渉については、弁護士にご相談ください。

1 結論:遺留分は、一定の相続人に法律で保障された最低限の取り分です

遺言や生前贈与によって、特定の人に財産が集中した場合でも、一定の相続人には最低限の取り分が保障されています。これを遺留分といいます。遺留分を侵害された相続人は、財産を多く受け取った人に対して、侵害された額に相当する金銭の支払いを請求できます(遺留分侵害額請求・民法1046条)。

2 遺留分がある人・ない人

  • 遺留分がある人:配偶者、子(子が亡くなっている場合は孫などの代襲相続人)、直系尊属(父母や祖父母)
  • 遺留分がない人:兄弟姉妹(甥・姪を含む)

兄弟姉妹には遺留分がないため、例えば子のいない方が「全財産を配偶者に相続させる」という遺言を残せば、兄弟姉妹は遺留分を請求できません。

3 遺留分の割合(民法1042条)

  • 直系尊属のみが相続人の場合:遺留分の基礎となる財産の3分の1
  • それ以外の場合:遺留分の基礎となる財産の2分の1

相続人が複数いる場合は、この割合に各自の法定相続分を掛けたものが、個々の相続人の遺留分になります。

3-1 計算例(仮の数値)

相続人が配偶者と子2人で、遺留分の基礎となる財産が6,000万円の場合、全体の遺留分は2分の1の3,000万円です。これを法定相続分で分けると、配偶者は1,500万円(2分の1)、子はそれぞれ750万円(4分の1)が遺留分になります。

遺留分の基礎となる財産には、相続開始時の財産のほか、一定の生前贈与も含まれます(相続人に対する贈与は原則として相続開始前10年以内のものなど。民法1044条)。計算は複雑になりやすいため、個別の確認が必要です。

4 請求の期限に注意

遺留分侵害額の請求権は、次のいずれかの期間を過ぎると行使できなくなります(民法1048条)。

  • 相続の開始と、遺留分を侵害する贈与や遺贈があったことを知った時から1年
  • 相続開始の時から10年

1年という期間は短いため、遺留分の請求を考えている場合は、早めに弁護士に相談することをおすすめします。請求の意思を明確にするため、内容証明郵便などで通知するのが一般的です。

5 遺言を作る側が気をつけたいこと

  • 特定の相続人に財産を集中させる場合は、他の相続人の遺留分を踏まえて内容を検討する
  • 遺留分相当の金銭を用意できるか(不動産しかない場合など)を考えておく
  • 遺言に、そのような分け方をした理由(付言事項)を書き添えておく

遺留分を侵害する遺言でも、遺言自体が無効になるわけではありません。ただし、相続開始後にトラブルになりやすいため、作成段階での配慮が大切です。

6 遺留分の放棄

相続開始前に遺留分を放棄するには、家庭裁判所の許可が必要です(民法1049条1項)。一方、相続開始後であれば、家庭裁判所の許可なく放棄(請求しないこと)ができます。なお、遺留分を放棄しても、相続人でなくなるわけではありません。

7 司法書士の役割

司法書士は、遺留分に配慮した遺言書の文案作成のサポート、遺言に基づく相続登記、遺留分の放棄の許可申立書の作成などについて、ご相談・ご依頼をお受けできます。遺留分侵害額の請求や相手方との交渉の代理は、原則として弁護士の業務となります(認定司法書士が代理できるのは、簡易裁判所の事件で訴訟の目的の価額が140万円以下の場合に限られます)。

8 よくある質問

Q. 遺留分を請求されたら、不動産を渡さなければなりませんか?

A. 現在の制度では、遺留分の請求は金銭の支払いを求めるものです。不動産そのものを渡す必要は原則としてありません。

Q. 生命保険金は遺留分の計算に含まれますか?

A. 受取人が指定された生命保険金は、原則として受取人固有の財産と考えられており、遺留分の基礎となる財産には含まれないとされています。ただし、特段の事情がある場合は扱いが異なることがあります。

Q. 遺留分の請求に応じなかったらどうなりますか?

A. 話し合いがまとまらない場合は、家庭裁判所の調停や訴訟で解決を図ることになります。弁護士への相談をおすすめします。

9 まとめ・ご相談の目安

遺留分は、配偶者・子・直系尊属に保障された最低限の取り分で、請求には1年・10年の期限があります。次のような場合には、ご相談をご検討ください。

  • 遺留分に配慮した遺言書を作りたい
  • 遺言に基づく相続登記を進めたい
  • 相続開始前に遺留分の放棄を検討している

当事務所では、遺言書作成のサポートや相続登記についてご相談をお受けしています。遺留分の請求や交渉が必要な場合は、弁護士へのご相談をご案内しています。

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