※ この記事は、亡くなった親あてに借金の督促状が届いた場合の対応に関する一般的な解説です。この記事は令和8年10月時点の法令・制度に基づいています。個別の事情により結論が異なることがありますので、具体的な判断は専門家にご相談ください。
1 まず、支払わずに内容を確認してください
親が亡くなった後、債権者や債権回収会社から、親の借金の督促状が届くことがあります。相続人は、相続開始の時から、亡くなった方の財産に属した一切の権利義務を引き継ぐため(民法896条)、借金も相続の対象になります。ただし、慌てて支払う前に、次の点を確認することが大切です。
- 誰に対する、いくらの借金か(借入れの時期、最後に返済した時期)
- 差出人は誰か(元の貸主か、債権を譲り受けた会社か)
- 裁判所からの書類ではないか
2 選べる対応は主に3つ
| 対応 | 内容 | 注意点 |
|---|---|---|
| 相続放棄 | 家庭裁判所に申述して、初めから相続人でなかったことにする(民法938条・939条) | プラスの財産も引き継げない。次の順位の人が相続人になる |
| 消滅時効の援用 | 借金が時効にかかっていれば、時効を援用して支払いを免れる | 一部でも支払うと、時効を主張できなくなるおそれがある |
| 相続して支払う・債務整理を検討する | プラスの財産が多い場合など | 返済が難しい場合は、相続人自身の債務整理も検討する |
3 相続放棄の「3か月」に注意
相続放棄は、自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内にする必要があります(民法915条1項)。親が亡くなってから3か月以上たっていても、借金の存在を知らず、知らなかったことに相当な理由がある場合などは、督促状で借金を知った時から3か月以内であれば、放棄が認められることがあります。
当事務所では、このような場合、亡くなったことや借金があることを、いつ、どのような経緯で知ったのかを時系列で整理した上申書を作成し、相続放棄の申述書に添付しています。例えば、長年連絡を取っていなかった親の死亡と借金を、債権者からの連絡で初めて知った、という事情です。督促状やその封筒は、知った日を示す資料になるため、捨てずに保管してください(3か月はいつから数える?)。
4 やってはいけないこと
- 少額でも支払う:相続財産から支払うと、相続を承認したとみなされるおそれがあり(民法921条1号)、時効も主張できなくなることがあります。
- 親の財産を処分する:預金を引き出して使う、車や家財を売るといった行為も、相続を承認したとみなされるおそれがあります。
- 放置する:裁判を起こされて判決が確定すると、対応が難しくなります。裁判所からの書類は必ず確認してください。
5 司法書士ができること
当事務所では、相続放棄の申述書類の作成、借金の調査、時効の援用(個々の債権の額が140万円以下の場合は代理人として援用通知を送付)などのご相談をお受けしています。個々の債権の額が140万円を超える場合の交渉は、弁護士へのご依頼が必要です。
6 まとめ・ご相談の目安
亡くなった親あての督促状が届いたら、支払う前に、相続放棄や時効の援用ができないかを確認しましょう。3か月の期限があるため、早めのご相談をおすすめします。
- 亡くなった親あての督促状が届いた
- 親が亡くなってから3か月以上たってから借金を知った
- 相続放棄をするか迷っている
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