コラム

相続人になれない人がいる?相続欠格と相続人の廃除の違い、戸籍への記載と相続登記

※ この記事は、相続欠格と推定相続人の廃除に関する一般的な解説です。この記事は令和8年9月時点の法令・制度に基づいています。個別の事案で欠格・廃除に当たるかどうかは事実関係によって判断が分かれるため、具体的な判断は弁護士などの専門家にご相談ください。

1 結論:法律上当然に相続権を失う「相続欠格」と、家庭裁判所の手続で相続権を失わせる「廃除」があります

本来は相続人となる人でも、一定の事情があると相続人になれないことがあります。その仕組みには、相続欠格(民法891条)と推定相続人の廃除(民法892条)の2つがあります。

2 相続欠格(民法891条)

次のような重大な不正行為をした人は、特別な手続をしなくても、法律上当然に相続人となることができません。

  • 故意に被相続人や先順位・同順位の相続人を死亡させ、または死亡させようとして、刑に処せられた者
  • 被相続人が殺害されたことを知りながら、告発・告訴しなかった者(一定の例外があります)
  • 詐欺・強迫によって、被相続人が遺言をしたり、撤回・取消し・変更したりすることを妨げた者
  • 詐欺・強迫によって、被相続人に遺言をさせたり、撤回・取消し・変更させたりした者
  • 被相続人の遺言書を偽造・変造・破棄・隠匿した者

相続欠格は戸籍には記載されません。そのため、相続登記などで欠格者を除いて手続をする場合は、欠格者本人が作成した「欠格事由があることの証明書」(印鑑証明書付き)や、確定判決の謄本などを添付するのが一般的です。

3 推定相続人の廃除(民法892条・893条)

遺留分を持つ推定相続人(配偶者・子・直系尊属)が、被相続人に対して虐待をしたり、重大な侮辱を加えたりしたとき、またはその他の著しい非行があったときは、被相続人は、家庭裁判所にその推定相続人の廃除を請求することができます。

  • 生前の申立て:被相続人自身が家庭裁判所に申し立てます。
  • 遺言による廃除:遺言で廃除の意思を示すこともでき、その場合は遺言執行者が家庭裁判所に申し立てます(民法893条)。

廃除が認められるかどうかは家庭裁判所が判断し、単に仲が悪いという程度では認められないのが一般的です。廃除が認められると、戸籍にその旨が記載されます。

なお、遺留分を持たない兄弟姉妹は廃除の対象ではありません。兄弟姉妹に財産を渡したくない場合は、遺言で他の人に財産を残せば足ります。

4 欠格・廃除と代襲相続

相続欠格や廃除によって相続権を失った人に子がいる場合、その子が代襲相続人となります(民法887条2項)。この点は、代襲相続の原因とならない相続放棄とは異なります。

5 廃除の取消し

被相続人は、いつでも家庭裁判所に廃除の取消しを請求することができ、遺言で取り消すこともできます(民法894条)。

6 司法書士の役割

司法書士は、戸籍による相続人の確定、欠格者・被廃除者がいる場合の相続登記の申請、遺言書の文案作成のサポート、家庭裁判所に提出する書類の作成について、ご相談・ご依頼をお受けできます。欠格事由の有無をめぐって争いがある場合の代理は弁護士の業務となります。

7 よくある質問

Q. 親の介護をしなかった兄弟を相続人から外せますか?

A. 介護をしなかったことだけで、欠格や廃除が認められるのは難しいと考えられます。財産の分け方を決めておきたい場合は、遺言の作成を検討しましょう。

Q. 欠格者は遺贈を受けることもできませんか?

A. 相続欠格の規定は受遺者にも準用されており、欠格事由がある人は遺贈を受けることもできません(民法965条)。

Q. 廃除された人は遺留分も請求できませんか?

A. 廃除されると相続人ではなくなるため、遺留分も請求できません。ただし、その人の子が代襲相続人となる場合は、代襲相続人に遺留分が認められます。

8 まとめ・ご相談の目安

相続欠格は法律上当然に、廃除は家庭裁判所の手続によって、相続権を失わせる制度です。次のような場合には、ご相談をご検討ください。

  • 戸籍に廃除の記載がある相続人がいる
  • 欠格事由がある相続人を除いて相続登記をしたい
  • 特定の相続人に財産を渡さない遺言を作りたい

当事務所では、相続人の確定、相続登記、遺言書作成のサポートについて、ご相談・ご依頼をお受けしています。

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