コラム

成年後見の申立てに必要な書類と費用 申立先・手数料・診断書と、申立て後の流れ

※ この記事は、成年後見開始の申立てに必要な書類と費用に関する一般的な解説です。この記事は令和8年10月時点の法令・制度に基づいています。個別の事情により結論が異なることがありますので、具体的な判断は専門家にご相談ください。

1 申立ての概要(裁判所の案内による)

認知症などで判断能力を欠く常況にある方について、家庭裁判所は、本人や配偶者、四親等内の親族などの申立てにより、後見開始の審判をすることができます(民法7条)。申立ての概要は次のとおりです。

項目 内容
申立てできる人 本人、配偶者、四親等内の親族、検察官など
申立先 本人の住所地の家庭裁判所(大阪市内に住んでいる方であれば大阪家庭裁判所)
申立手数料 収入印紙800円分
登記手数料 収入印紙2,600円分
郵便切手 裁判所ごとに異なる
鑑定費用 本人の精神の状況について鑑定が必要な場合に、申立人が負担することがある

2 主な必要書類

  • 申立書、申立事情説明書などの書式(家庭裁判所の書式)
  • 本人の戸籍謄本、住民票または戸籍の附票
  • 後見人の候補者の住民票または戸籍の附票
  • 本人の診断書(家庭裁判所所定の様式)と、本人情報シートの写し
  • 本人の健康状態に関する資料(介護保険の認定書など)
  • 本人が成年被後見人等として登記されていないことの証明書
  • 本人の財産に関する資料(預貯金通帳の写し、不動産の登記事項証明書、借入れの資料など)
  • 本人の収支に関する資料(年金の通知書、施設利用料の領収書など)

戸籍や診断書などは、発行から3か月以内のものを求められるのが一般的です。家庭裁判所によって書式や必要書類が異なるため、申し立てる家庭裁判所の案内を確認します。

3 当事務所の実務から:書類集めの段取り

当事務所では、成年後見の申立てのご依頼を受けた場合、次のように準備を進めています。

  • 証明書の請求をまとめて行う:戸籍・住民票・税の証明書などの請求書を、後見申立て用にあらかじめ用意しておき、必要な証明書を一度に請求します。
  • 「登記されていないことの証明書」を取得する:法務局に申請して取得します。
  • 財産と収支の資料を整理する:通帳の写しや年金の通知書などをお預かりし、財産目録・収支予定表の形に整理します。
  • 診断書は早めに依頼する:主治医に家庭裁判所所定の様式で作成してもらうため、時間がかかることがあります。

4 申立て後の流れ

  1. 家庭裁判所での面接(申立人・後見人候補者など)
  2. 必要に応じて、本人の面接や親族への意向照会、鑑定
  3. 後見開始の審判と、成年後見人の選任(家庭裁判所が選びます。候補者が必ず選ばれるとは限りません。民法843条1項)
  4. 審判の確定後、法務局で後見の登記がされる

後見人に選ばれた後にやることは、成年後見人に選ばれたらやることで解説しています。

5 注意したいこと

  • 申立ての取下げ:申立て後は、家庭裁判所の許可がなければ取り下げられないとされています。後見人に誰が選ばれるか分からないことも含めて、申立て前によく検討します。
  • 制度の改正:成年後見制度は、民法の改正(令和8年6月24日公布)による見直しが予定されています。施行までは現行の制度が適用されます。

6 当事務所でのご相談から:時間がかかりやすい書類と準備期間

申立ての準備では、診断書や、本人の財産・収支に関する資料の収集に時間がかかることがあります。親族関係や本人の財産状況を確認するため、通帳、年金、保険、不動産などの資料を整理する必要があります。

必要な資料がすぐにそろう場合は比較的早く準備できますが、財産関係や親族関係が複雑な場合は時間がかかります。具体的な期間は、資料の収集状況を確認したうえでご案内しています。

7 まとめ・ご相談の目安

成年後見の申立ては、本人の住所地の家庭裁判所に、申立書と戸籍・診断書・財産資料などを提出して行います。書類が多いため、段取りを決めて準備することが大切です。

  • 親の判断能力が低下し、預金の管理や不動産の手続きができない
  • 相続人に認知症の方がいて、遺産分割が進まない
  • 申立書類の作成を任せたい

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