コラム

夫婦共有名義の家はどうなる?離婚時の財産分与による持分移転の登記と注意点

※ この記事は、離婚に伴う財産分与と不動産の登記に関する一般的な解説です。この記事は令和8年9月時点の法令・制度に基づいています。税金の取扱いは税理士・税務署にご確認ください。個別の事情により結論が異なることがありますので、具体的な判断は専門家にご相談ください。

1 夫婦共有名義の家は、離婚しても自動的には名義が変わりません

夫婦がお金を出し合って購入した自宅は、「夫 持分2分の1、妻 持分2分の1」のように共有名義になっていることがよくあります。離婚をしても、登記の名義は自動的には変わりません。離婚後も共有のままにしておくと、将来売却するときに元配偶者の同意が必要になるなど、関係が続くことになります。

離婚の際に、どちらか一方がもう一方の持分を取得して単独名義にする場合は、財産分与を原因とする持分移転の登記をするのが一般的です。

2 財産分与とは

財産分与とは、離婚をした夫婦の一方が、相手方に対して財産の分与を求めることができる制度です(民法768条1項)。当事者の協議で決めることができ、協議が調わない場合は家庭裁判所に処分を求めることができます(同条2項)。

家庭裁判所に財産分与を求めることができるのは、離婚の時から5年以内です(同条2項ただし書)。この期間は、令和8年4月1日施行の民法改正で2年から5年に延長されました。施行日より前に離婚した場合の扱いは経過措置によるため、個別に確認が必要です。

3 財産分与による持分移転登記の流れ

  1. 財産分与の内容を決める:どちらが不動産を取得するか、代わりに金銭などをどう分けるか、住宅ローンをどうするかを決め、離婚協議書などの書面にまとめます。
  2. 離婚の成立:財産分与は離婚に伴うものなので、登記は離婚が成立した後に行います。
  3. 登記の申請:持分を渡す側(登記義務者)と受け取る側(登記権利者)が共同で、「財産分与」を原因とする持分移転の登記を申請します。

3-1 主な必要書類

  • 持分を渡す側:登記識別情報(または登記済証)、印鑑証明書(発行後3か月以内)・実印
  • 持分を受け取る側:住民票
  • 財産分与の内容が分かる書面(登記原因証明情報)
  • 固定資産評価証明書(登録免許税の計算のため)
  • 登記上の住所・氏名が変わっている場合は、その変更を証する書類(住所変更・氏名変更の登記が先に必要になることがあります)

3-2 調停・審判で決まった場合

家庭裁判所の調停や審判で財産分与が決まり、調停調書などに登記手続きをすべきことが記載されている場合は、持分を受け取る側が単独で登記を申請できることがあります。調書の記載内容によって扱いが変わるため、事前に確認が必要です。

4 費用と税金

  • 登録免許税:移転する持分に相当する固定資産税評価額の1,000分の20です。
  • 贈与税:離婚による財産分与には、原則として贈与税はかかりません。ただし、分与された財産が、婚姻中の夫婦の協力によって得た財産の額などを考慮してもなお多すぎる場合はその部分に、離婚が贈与税や相続税を免れるために行われたと認められる場合は分与された財産全体に、贈与税がかかることがあります(国税庁タックスアンサーNo.4414)。
  • 譲渡所得税:不動産を分与した側に、譲渡所得の申告が必要になる場合があります(国税庁タックスアンサーNo.3114)。
  • 不動産取得税:課税されるかどうかは、都道府県税事務所にご確認ください。

5 住宅ローンが残っている場合の注意

住宅ローンが残っている場合、登記の名義を変えても、金融機関とのローン契約(債務者・連帯債務者・連帯保証人)は変わりません。例えば、夫婦の連帯債務で借りたローンは、家を出た側も引き続き返済義務を負うことになります。

また、ローンの契約では、担保物件の名義を変える際に金融機関の承諾が必要とされていることが多いです。名義変更をする前に、金融機関に相談して、借換えや債務者の変更ができるかを確認しておきましょう。

6 司法書士の役割

司法書士は、財産分与による持分移転の登記、前提となる住所・氏名変更の登記、登記に必要な書類の作成、ローン完済後の抵当権抹消登記についてご相談・ご依頼をお受けできます。財産分与の内容について当事者間で争いがある場合の交渉や、調停の代理は司法書士にはできないため、弁護士へのご相談をご案内しています。

7 よくある質問

Q. 離婚前に名義を変えておくことはできますか?

A. 財産分与は離婚に伴って行うものなので、財産分与を原因とする登記は離婚後になります。離婚前に名義を移すと、贈与として扱われ、贈与税の問題が生じるおそれがあります。

Q. 相手が登記に協力してくれません。

A. 財産分与による登記は共同申請が原則のため、相手の協力が必要です。協力が得られない場合は、家庭裁判所の調停・審判や訴訟で解決を図ることになり、弁護士へのご相談をおすすめします。

8 まとめ・ご相談の目安

夫婦共有名義の家は、離婚しても名義は自動的に変わらず、財産分与による持分移転の登記が必要です。住宅ローンの扱いや税金にも注意が必要です。次のような場合は、ご相談をご検討ください。

  • 離婚協議で自宅を単独名義にすることが決まった
  • 住宅ローンの完済と名義変更を同時に進めたい
  • 離婚後、元配偶者との共有名義のままになっている

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