コラム

相続登記の費用はいくら?登録免許税・書類の取得費用・司法書士報酬の内訳と計算例、誰が払うか

※ この記事は、相続登記にかかる費用に関する一般的な解説です。この記事は令和8年9月時点の法令・制度に基づいています。税金の取扱いは税理士・税務署に、書類の手数料は各市区町村にご確認ください。

1 相続登記の費用は3つに分けられます

費用 内容 自分で申請する場合
登録免許税 登記の申請時に国に納める税金 必要
書類の取得費用 戸籍謄本、住民票、固定資産評価証明書、登記事項証明書など 必要
司法書士報酬 手続きを司法書士に依頼する場合の報酬 不要

このほか、郵送費や交通費がかかります。自分で申請すれば司法書士報酬はかかりませんが、登録免許税と書類の取得費用はどちらの場合も必要です。

2 登録免許税

2-1 計算方法

相続による所有権移転登記の登録免許税は、不動産の価額(固定資産税評価額)×1,000分の4(0.4%)です。課税標準額は1,000円未満を切り捨て、税額は100円未満を切り捨てて計算します。固定資産税評価額は、市区町村の固定資産評価証明書や、毎年届く固定資産税の課税明細書で確認できます。

2-2 計算例

土地の評価額が1,500万円、建物の評価額が300万円の自宅を相続した場合

  • 課税標準額:1,500万円+300万円=1,800万円
  • 登録免許税:1,800万円×0.4%=7万2,000円

共有持分だけを相続する場合は、評価額に持分の割合を掛けた額が課税標準になります。

2-3 免税措置

令和9年3月31日までの間、次の場合には登録免許税が免除される措置があります。

  • 土地を相続した人が、相続登記をしないまま亡くなった場合の、その亡くなった人を名義人とする相続登記
  • 不動産の価額が100万円以下の土地の相続登記(建物は対象外)

免税措置を受けるには、申請書に免税の根拠となる法令の条項を記載する必要があります。詳しくは関連記事「相続登記の登録免許税はいくら?」をご覧ください。

2-4 遺言で相続人以外に遺贈する場合

相続人以外の人が遺贈で不動産を取得する場合の税率は、1,000分の20(2%)です。相続人が遺贈を受ける場合は、相続人であることを証する書面を添付すれば、1,000分の4で申請できます。

3 書類の取得費用

書類 手数料の目安
戸籍謄本(全部事項証明書) 1通450円
除籍謄本・改製原戸籍謄本 1通750円
住民票・住民票の除票・戸籍の附票 1通200〜300円程度(市区町村により異なる)
印鑑証明書 1通200〜300円程度(市区町村により異なる)
固定資産評価証明書 1通数百円程度(市区町村により異なる)
登記事項証明書 1通数百円(請求方法により異なる)

亡くなった方の出生から死亡までの戸籍は、転籍や婚姻の回数によって何通にもなります。兄弟姉妹が相続人になる場合や、数次相続が起きている場合は、戸籍が数十通になることもあります。法務局で法定相続情報一覧図の写しを交付してもらえば(無料)、金融機関などの手続きで戸籍の束を何度も出さずに済みます。

4 司法書士報酬

司法書士の報酬は、平成15年に報酬基準が廃止され、各事務所が自由に定めています。同じ相続登記でも、次のような事情によって金額が変わるのが一般的です。

  • 相続人の人数、戸籍を集める量
  • 不動産の数、管轄の法務局の数
  • 遺産分割協議書の作成や、数次相続・代襲相続の有無
  • 相続人申告登記や住所変更登記など、ほかの登記が必要かどうか

依頼する前に、報酬と実費(登録免許税・書類の取得費用)を分けた見積もりを出してもらい、何が含まれているかを確認しましょう。当事務所の料金は、不動産の相続手続(相続登記)の料金ページでご案内しています。

5 費用は誰が払うのか

相続登記の費用を誰が負担するかについて、法律上の決まりはありません。一般的には、不動産を取得する相続人が負担することが多いですが、相続人全員で分担することもできます。後でもめないよう、遺産分割協議の際に、費用の負担方法も決めておくことをおすすめします。

司法書士に依頼した場合の支払いの時期は事務所によって異なりますが、登録免許税は登記の申請時に納める必要があるため、申請前に実費分を預かる事務所が多いです。

6 費用を抑えるには

  • 免税措置が使えないか確認する:評価額100万円以下の土地などは登録免許税がかかりません。
  • 書類を自分で集める:戸籍などの収集を自分で行えば、その分の手間代を抑えられることがあります。
  • 相続登記をまとめて行う:数次相続が起きている場合や、複数の不動産がある場合は、まとめて手続きをするほうが効率的です。
  • 自分で申請する:司法書士報酬はかかりませんが、戸籍の読み取りや申請書の作成に時間がかかり、補正(修正)が必要になることもあります。

7 相続登記の費用と税金の関係

  • 相続登記の費用は、相続税の計算で遺産から差し引ける債務・葬式費用にはあたりません。
  • 相続した不動産を売却した場合、相続登記の費用(登録免許税や司法書士報酬など)は、譲渡所得の計算上、取得費に含められるとされています(国税庁タックスアンサーNo.3252。事業用の資産の場合は扱いが異なります)。
  • 相続した不動産を賃貸している場合の扱いなど、具体的な税務の判断は、税理士または税務署にご確認ください。

8 司法書士の役割

司法書士は、戸籍の収集、相続関係説明図・法定相続情報一覧図の作成、遺産分割協議書の作成、登録免許税の計算、相続登記の申請までまとめてお受けできます。免税措置が使えるかどうかの確認も行います。

9 よくある質問

Q. 固定資産税評価額が分かりません。

A. 毎年届く固定資産税の納税通知書に同封されている課税明細書で確認できます。見当たらない場合は、不動産がある市区町村で固定資産評価証明書を取得します。

Q. 私道の持分など、評価額が0円の土地がある場合は?

A. 評価額が付いていない土地は、近くの土地の評価額などをもとに課税標準を計算することがあります。法務局や司法書士にご確認ください。

10 まとめ・ご相談の目安

相続登記の費用は、登録免許税(評価額の0.4%)、書類の取得費用、司法書士報酬(依頼する場合)で構成されます。次のような場合は、見積もりのご依頼をご検討ください。

  • 相続人が多い、戸籍の量が多くなりそう
  • 複数の不動産や、数次相続が起きている
  • 免税措置が使えるか知りたい

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