コラム

相続登記の無料相談はどこでできる?司法書士・法務局・役所・法テラスなど相談先の違いと選び方

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この記事は一般的な解説です。令和8年10月時点の法令・運用に基づいており、個別の事情により結論が変わることがあります。

相続登記(亡くなった方名義の不動産を相続人の名義に変える登記)は、令和6年4月1日から申請が義務になりました。「どこに相談すればよいのか」「無料で聞ける窓口はあるのか」という疑問に答えるため、相談先ごとの違いと選び方を整理します。

結論:「誰に何をしてほしいか」で相談先を選びます

「誰に何をしてほしいか」で選ぶ相談先

こんなとき 相談先
手続き全体を任せたい(戸籍の収集、遺産分割協議書、登記申請) 司法書士
自分で申請したいので書き方だけ知りたい 法務局の登記手続案内
相続人どうしで争いがあり、代理人として交渉・調停をしてほしい 弁護士
経済的に余裕がなく、まず無料で相談したい 法テラス、市区町村の無料相談

「無料」の範囲は窓口ごとに異なります。予約時に確認してください

無料または低額で相談できる窓口は複数ありますが、役割が違います。目安は次のとおりです。

  • 手続き全体(戸籍の収集、遺産分割協議書、登記申請)を任せたい:司法書士
  • 自分で申請したいので書き方だけ知りたい:法務局の登記手続案内
  • 相続人どうしで争いがあり、代理人として交渉・調停をしてほしい:弁護士
  • 経済的に余裕がなく、まず無料で相談したい:法テラス、市区町村の無料相談

「無料」の範囲(相談時間、回数、書類作成まで含むか)は窓口ごとに異なります。予約時に確認してください。

主な相談先と、できること・できないこと

相談先 できること できないこと・注意点
司法書士事務所 戸籍の収集、遺産分割協議書の作成、登記申請の代理など 紛争性のある案件で、相続人間の交渉や調停の代理をすること(認定司法書士の訴訟代理等は訴額140万円以下の簡易裁判所の事件に限られます)。相談料は事務所によって異なります
弁護士事務所 遺産分割の交渉・調停・訴訟の代理など、争いのある相続全般 相談が有料の場合があります。登記申請そのものは司法書士が担当するのが通常です
司法書士会の相談窓口 登記や相続に関する相談(実施の有無・日時・料金は各会で異なります) 個別の事件の依頼先を決めてくれる窓口ではありません
法務局(登記手続案内) 申請書の書き方、必要書類の案内 申請書の作成そのもの、遺産の分け方などの法律判断はしてもらえません。予約制です(1回20分程度が目安。予約方法は管轄の法務局にご確認ください)
市区町村の無料法律相談 弁護士・司法書士などによる短時間の相談 時間が短く、予約制・回数制限があることが多いです
法テラス 収入・資産が基準以下の方への無料法律相談。要件を満たせば、弁護士・司法書士の費用の立替え(民事法律扶助)も利用できます 資力基準があります。立替えを受けるには、勝訴の見込みがないとはいえないことなども要件で、立替金は原則として分割で返済します

司法書士に相談するのが向いている場合

相続人の間で大きな争いがなく、不動産の名義変更を確実に終わらせたい場合です。戸籍の読み取り、相続人の確定、遺産分割協議書、登記申請までを一括して依頼できます。費用の目安は、登録免許税などの実費と司法書士報酬を分けて見積りをもらうと比較しやすくなります(相続登記の費用はいくら?登録免許税・書類の取得費用・司法書士報酬の内訳と計算例、誰が払うか)。

弁護士に相談するのが向いている場合

遺産の分け方で意見が対立している、遺言の有効性を争いたい、他の相続人が話し合いに応じないといった場合です。代理人としての交渉や調停は弁護士の業務です。司法書士は、全員の合意ができた後の協議書作成や登記を担当します(相続手続きで司法書士ができること・できないこと 弁護士・税理士との違いと依頼先の選び方)。

自分で申請したい場合

法務局の登記手続案内を利用しながら、自分で申請することもできます。申請書の書き方や添付書類の案内は受けられますが、書類を代わりに作ってもらうことはできません(相続登記を自分で申請するには?申請書の作り方・提出方法と、つまずきやすいポイント)。

相談の前に準備しておくこと

  • 亡くなった方の氏名・死亡日と、相続人になりそうな方(配偶者・子など)のメモ
  • 不動産の固定資産税の納税通知書(課税明細書)、権利証(登記済証)または登記事項証明書があれば持参する
  • 遺言書の有無、相続人どうしの話合いの状況
  • 聞きたいことの箇条書き(費用、期間、必要書類、自分でできる範囲など)
  • 相続した不動産が複数ある、場所が分からない場合は、その旨(調べ方は亡くなった親の不動産を漏れなく調べる方法 名寄帳・評価証明書・所有不動産記録証明書の使い分けで解説しています)

相談先を選ぶときの注意点

  • 「無料」でも、相談後の依頼で費用が発生します。見積りでは、報酬と実費(登録免許税、戸籍・住民票などの取得費用)が分かれているかを確認します。
  • 期限があります。相続で不動産を取得したと知った日から3年以内に申請しなければなりません。正当な理由なく怠ると10万円以下の過料の対象になります(不動産登記法164条1項)。話合いが長引く場合は、先に「相続人申告登記」で義務を果たす方法もあります(相続人申告登記とは?相続登記の義務を簡単に果たす方法と、相続登記との使い分け)。
  • 名義が祖父母の代のままなど、相続人が多い場合は、戸籍の収集に時間がかかります。早めの相談が安心です。

よくある質問

Q1 法務局で申請書を書いてもらえますか?

書いてもらうことはできません。登記手続案内では、申請書の書き方や必要書類の説明を受けられますが、申請書の作成そのものや、遺産をどう分けるかの判断は対象外です。

Q2 相談だけで依頼しなくても大丈夫ですか?

多くの窓口は、相談だけの利用を想定しています。依頼するかどうかは、費用の見積りや期間の説明を受けてから決めて構いません。

Q3 相続人どうしで揉めている場合はどこに相談しますか?

代理人として交渉や調停をしてほしい場合は、弁護士に相談します。全員の合意ができた後の遺産分割協議書の作成と登記は、司法書士が担当できます。

まとめ

相談先は、手続きを任せたいなら司法書士、争いがあるなら弁護士、自分で申請するなら法務局の手続案内、費用の不安が大きいなら法テラスや自治体の無料相談、と使い分けます。複数の窓口を組み合わせても構いません。3年以内という期限を意識して、早めに一度相談してみましょう。

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この記事の監修者

司法書士 川西 祐輔(ウィルパートナー司法書士事務所 代表)

大阪司法書士会所属(登録番号 大阪第4855号)/簡裁訴訟代理等関係業務認定/公益社団法人成年後見センター・リーガルサポート会員。相続登記・遺言・相続放棄・成年後見・債務整理・不動産登記・商業登記を取り扱っています。

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